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リーダーには危機管理能力以上の高度なスキルが求められている
米国の生活を一変させた新型コロナウイルスのパンデミック発生から5年。当初は、不確実性、恐怖、そして前例のない世界的危機に適応しようと必死だった。店舗は一夜にして閉鎖され、サプライチェーンは混乱し、従業員は働き方や働く場所が劇的に変化するという事態に直面した。ビジネスリーダーは不完全な情報をもとに迅速かつ重大な決断を下すと同時に、組織内の信頼と安定性を確保しなければならなかった。
あれから5年が経ち、突然の大混乱がもはや珍しい出来事でなくなったのは明らかだ。世界的な健康危機、地政学的な対立、技術的な大混乱など、きっかけは何であれ、ビジネスリーダーは重大な変化がいつ起きてもおかしくない環境で活動している。
パンデミックは、すでに始まっていた流れを加速させただけではない。組織の運営方法や、リーダーの思考に大きな変化をもたらしたのだ。リモートワークは試験的な取り組みから標準的な慣習へと進化した。サプライチェーンの脆弱性は、理論上の懸念から戦略上の優先事項へと変わった。テクノロジーは業務の遂行や価値創出の方法を繰り返し再定義している。
そして、おそらく最も重要なのは、雇用主と従業員の関係が根本的に変化していることだ。成長、効率性、収益性を優先させるという組織的な重圧はありつつ、従業員は組織に対し、柔軟性、パーパス、サポートをより強く求めるようになった。
筆者らはさまざまな業界の経営陣にコーチングを行いながら、いまの時代に成功するリーダーシップには、危機管理能力以上のものが求められていることを見てきた。変化を普通の状態として受け入れ、混乱を成長の機会に変えなければならないのだ。
不確実性と複雑性が高まる今日の環境において、混乱を革新と成長の推進力に変えることができる新しいリーダーシップのアプローチを生み出すために、リーダーは5つの重要なスキルを発展させる必要がある。
1. 不確実性に対して積極的に取り組む
パンデミックは、成功するリーダーが不確実性にどのように取り組むかについて、根本的な変化をもたらした。危機を乗り切ることに専念する組織がある一方で、混乱の最中に将来への可能性を見出そうとする組織も出てきた。
ペプシコ会長兼CEOのラモン・ラグアルタは、サプライチェーンや製造、消費者の習慣の変化という大きな混乱に直面して、会社の将来を見直す好機と捉えた。彼は前CEOのインドラ・ヌーイが導入した先見性のある戦略をもとに、不確実性を乗り切るためのシナリオプランニングを採用し、2021年にpep+(ペプシコ・ポジティブ)を提唱した。
pep+は、持続可能性と人的資本をペプシコの事業戦略の中心に据えるという大胆な構想だ。消費者の健康志向の高まり、持続可能な農業の必要性、サプライチェーン全体での二酸化炭素排出削減への取り組みといった社会の重要なトレンドを活用して、急速に進化する市場で常にペプシコが先行できるようにする。