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履歴書の空白期間は就職に影響するか
2024年に、『ハーバード・ビジネス・レビュー』(HBR)に掲載された筆者らの記事「履歴書の空白期間は、依然として転職に悪影響を与えている」は、多くの読者の注目を集めた。同年のホワイトカラー人材市場での出来事を踏まえれば、何ら不思議なことではない。
年の初めから、アマゾン・ドットコム、ブラックロック、シティグループなどがホワイトカラーの人員削減を相次いで発表した。また秋の米国労働統計局の報告では、同年に失業した米国人の4人に1人はビジネスおよびプロフェッショナルサービス部門の勤労者であることが明らかになった。9月だけでも、およそ50万件のビジネスおよびプロフェッショナルサービスの職が削減され、それらの職種では過去2年間で最大の数値だった。テクノロジー、メディア、コンサルティング、金融関係の職は驚くべきスピードで消えつつある。
予想通り、2024年は全日制のMBAプログラムの志願者が急増した。就労機会の減少を目の当たりにした若いプロフェッショナルにとって、学習に時間を投資することがより魅力的な選択肢になったということだ。しかしトップレベルのMBAプログラムの出身者でさえ、最近では職を得た人の割合が減少している。
もちろん、誰もが大学に戻ることを考えられるわけではない。むしろ、職探しをする人が増えているが、職が見つかるまでの期間が長期化している。2月の米国労働省の報告によると、失業者は700万人を超え(2023年同時期の19%増)、そのうち150万人は6カ月以上、職探しをしている。現在、職が見つかるまでの期間は5カ月以上で、2023年に比べて半月長くなっている。こうして労働市場が厳しさを増す中で、当然ながら、その影響はほんの2年前には雇用が急増したホワイトカラー労働者にも及ぶ。
失業の可能性に直面している人や、現在その状況にある人々にとって、「履歴書の空白期間はどれほどキャリアに悪影響を及ぼすのか」という古くからある問いが、自然と関心の的となる。
先述の記事では、リンクトインでエグゼクティブにアンケート調査を行い、回答者の61%が履歴書の空白期間を否定的に捉えていることがわかった。また転職したエグゼクティブのデータによると、履歴書に空白期間のない人の転職時の昇給は22%だったのに対し、空白期間のある人の昇給は平均14%だった。また、履歴書作成サービス「レジュメゴー」(ResumeGo)の調査結果によれば、空白期間があると、求人に応募して次の段階に進める可能性が低くなり、特に2年を超えるとその可能性が大きく低下した。
こうした研究結果はリンクトインで議論を呼んだので、筆者らはこのテーマを再検討することにした。リンクトインでコメントをした2600人を超える人々に「経営者として、履歴書の空白期間は重要だと思いますか」と質問した。すると前回の調査結果と同様、約3分の2が履歴書の空白期間は重要な問題と考えていることがわかった。
今回は、空白期間が最近かどうかが重要なのかも質問した。空白期間が重要な問題だと主張する人々のうち、半数以上がネガティブな印象は長期間にわたって残り、空白期間の影響はある時期が来れば消えるものではないことを示唆していた。これは履歴書に空白期間のあるエグゼクティブ層の転職者について、筆者らが行った分析とも一致した。空白期間が最近のことかどうかで、報酬面へのマイナスの影響の大きさに明らかな変化はなかった。
コメントの分析からは、新しい視点も見えてきた。
履歴書に空白期間ができそうな時は、ナラティブをコントロールしよう
HBRに掲載された筆者らのもう一つの記事「リンクトインのプロフィールを充実させると報酬は上がるのか」では、個人的なナラティブを意識的にコントロールすることの報酬面でのメリットについて論じた。自分の過去を正直に受け入れ、希望するプロフェッショナルな機会と一致する形で自身の経験を語ることには、大きな力がある。