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マーケティングを「利益創造システム」と考える
毎年、潜在顧客へのダイレクト・マーケティングや既存顧客とのリレーションシップ・マネジメントに何十億ドルもの資金が費やされている。さまざまな技術の登場により、消費者の人口統計や行動に関するデータを豊富に収集できるようになった。またそのおかげで、消費者を個人単位で分析・管理することが可能になった。
これらのデータを武器に、「この商品をほしがる人」だけに向けたメッセージや、既存顧客一人ひとりに追加購入しそうな商品を提案できるようになった。また、さまざまな関連技術を利用すれば、多種多様なチャネルを通じた顧客リーチが可能になる。これによってマーケティング・コミュニケーション全体の効果を改善し、潜在的利益をいっそう増大させることもできる。
ここ10年というもの、小売業、製薬業、B2Bサービス業などさまざまな分野の企業が、ダイレクト・マーケティングの大規模化とスピードアップを進めている。
それに伴い、リフト・チャート[注1]やゲイン・チャート[注2]、感度分析、RFMモデル[注3]、ディシジョン・ツリー、意思決定計算など、顧客一人ひとりをより緻密に識別し管理できる分析ツールがさまざまに開発されてきた。
これら新しいツールは、マーケティング投資効果を改善するうえで大きく貢献してきた。なかでもこの種のツールを巧みに使いこなしているのが、世界最大の通販会社、ドイツ・ハンブルクに本社を構えるオットー・フェルザンドである。同社では、十分なデータさえあれば、特定のダイレクトメールに反応するのかどうかについて、ほぼ80%の確度で予測できるという。
このことは同社にとって、大きな競争力となっている。たとえば2003年、同社の北米子会社であるクレート・アンド・バレル(小売りおよび通販)は、小売業界がきわめて厳しい状況にあるなか、対前年度比12.6%増、8億6500万ドルもの売上げを達成している。
また同社は、スペインのアパレル小売業のサラ(日本名ザラ)との合弁事業でも、驚異的な顧客ターゲティング・スキルを駆使して、ドイツ市場での売上高を70%も増大させている。
このような成功例があるものの、我々から見ると、いまだにダイレクト・マーケティング投資に苦慮している企業は多い。