他部署の同僚を動かし、結果を出す方法
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サマリー:地位が上がるほど、成果は部下ではなく同僚を通じて実現する場面が増える。他部門の協力を得るには、相手のエゴや利害に配慮しながら、ていねいな説得と信頼の構築が欠かせない。本稿では、一線を越えることなく、仕... もっと見る事を分担し、同僚に納得感を持って動いてもらうための具体的なアプローチを5つ紹介する。 閉じる

地位が上がると、あなたの成功は直属の部下以外の行動に左右される

 部下に仕事を任せるのは簡単だ。部下はあなたに直属しているため、仕事を割り当てればそれが自分の職務の一部であることを理解する。しかし、相手が同僚となると、厄介だ。

 顧客体験担当副社長に就任したばかりのプレストンのケースを考えてみよう。彼にとって最初の重要な取り組みは、営業、サポート、製品部門全体のワークフローを再構築することだった。これらの部門はすべて、野心的な四半期目標を持つ他の副社長が監督している。「以前はチームに指示を与えればよかった」とプレストンは筆者に語った。「しかしいまでは、私のプロジェクトを自分のものと並行して優先するよう同僚を説得することに一日の半分を費やしている」

 地位が上がるにつれて、あなたの成功は直属の部下ではない人、つまり同僚を通じて結果を出すことにますます依存する。時には、財務部門が行う予測や法務部門が作成する契約書など、専門的な知識が必要となる場合がある。また、プロジェクトに必要な規模とペースで成果を出すために、単純により多くの人手が必要となり、同僚に仕事を依頼しなければならない時もある。

 あなたと同様に多忙な役割を担い、他人の仕事を押しつけられることを好まない同僚に、時間と注意を求めることは難しい。同僚に仕事を任せるということは、エゴ、政治、目に見えない力関係を管理することだ。一線を越えることなく、仕事を分担し、必要な協力を得る方法を以下に解説する。

どのタスクが適切か評価する

 同僚に対して、彼らのチームの複数のメンバーを動員させ、リソースを再配分させ、場合によっては彼らの業務の成果物を遅らせるよう依頼することになるだろう。そのため、どの仕事を任せるかについては慎重にならなければならない。同僚に仕事を引き受けてもらう前に、それが本当に彼らのチームが担当すべきものなのかを評価する。彼らの専門分野からかけ離れているものや、明らかに彼らにとって優先順位の低いものなど、不適切なタスクを任せると、関係にひびが入り、(ていねいな言い方でも)すぐに「ノー」と言われるだろう。

 相手の専門分野に合致するタスクや、彼らのチームがすでに使用しているツールやプロセスに依存するタスク、あるいは最終的にあなたよりも彼らにとってより有益なタスクを任せることを検討すべきだ。たとえば、分析サポートを必要とする顧客向けプロジェクトを率いている場合、自分で実行した後でデータ部門を巻き込むのではなく、彼らにリポート作成を主導してもらうほうが理にかなっている。その仕事が彼らの目標をサポートしたり、彼らの評価を上げたり、長期的に彼らの仕事を容易にしたりする場合、一方だけが恩恵を受けるものではなく、ウイン・ウインのものと見なされやすい。

依頼をパートナーシップとして示す

 自分のチームに対して使うような直接的な言葉(「これを処理してほしい」)は避け、協働の土台をつくる背景の情報から伝える。「今後の研修のニーズを考えるに当たり、効率的に進めたいと考えており…」「このプロセスの長期的な位置づけについて考えると…」といった言葉から始める。

 同僚の専門知識を認め、彼ら(または彼らのチーム)がその仕事に最適であると認識していることを示す。「あなたは長年、これらのクライアントとの関係を築いてきたので…」「あなたの同様の導入実績を考えると…」といった表現が考えられる。