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決定の背景にある真実をいかに把握するか
仕事では、真実を明らかにしなければならない場面にしばしば遭遇する。上司は、あなたが動揺したり争いを招いたりすることを恐れ、2025年に昇進のチャンスがないことを言いたくないかもしれない。あるいは、チームメンバーがプロジェクトの遅れを責められないように身勝手な嘘をつくかもしれない。従業員の不正行為が深刻な場合やプロジェクトが行き詰まっている場合は、決定を下したり前に進む方法を見つけたりするために、真実の情報を集め、証拠をまとめる必要があるかもしれない。「なぜその重要な情報を見逃したのですか」「なぜ私は昇進しなかったのですか」と尋ねるだけでは不十分だ。
筆者らが仕事や研究を通して観察した複数の実例が組み合わさった、マーシャルの例で考えてみよう。
マーシャルは戦略コンサルティング会社のビジネスアナリストで、エンゲージメントマネジャーのクロエが率いる注目度の高いデジタル変革プロジェクトに参加する機会を狙っていた。このチャンスをつかめば昇進への近道になることをマーシャルは知っていた。同僚からこの話を聞き、クロエにメールを送った。しかし、彼女から返事はなく、他の同僚はすでにこのプロジェクトに採用されている。自分の経歴と経験はクライアントの業界とマッチしているため、何が原因で滞っているのか、彼にはわからない。
マーシャルは知らなかったが、前の四半期に別のエンゲージメントマネジャーと担当した製薬プロジェクトでの彼のパフォーマンスについて、クロエは懸念を抱いていた。そのマネジャーは、マーシャルがクライアントから質問された時に主張が足りないとクロエに伝えており、クロエはマーシャルがクライアントと接する役割をこなせるだろうかと考えていた。
マーシャルは、プロジェクトのスタッフが揃う前に必要な修正ができるよう、問題の原因を突き止める必要があるとわかっている。具体的には、クロエにどのようにアプローチし、自分に対する印象について正確な情報を引き出す質問を投げかけるのか、見極めなければならない。彼はどうすべきだろうか。
真実を明らかにする方法
本稿では、こうしたシナリオと、質問の言い回しが欺瞞に与える影響に関する筆者らの研究に基づき、人々が真実を語るように促すための、根拠に基づいたアドバイスを提示する。
1. 会話を始める前に下調べをする
特に衝突を招く可能性がある場合は、会話を始める前の下調べがとりわけ重要だ。十分な準備をしていれば、真実を引き出せる可能性が高くなる。
専門家が保険金詐欺を見抜く方法について実施した筆者らの調査研究で、ある大手自動車保険会社の特別調査員にインタビューしたところ、成功の主な理由の一つは、調査員が詐欺を行った人物との面談の準備を入念かつ緻密に行ったことであることがわかった。彼らは近隣に聞き込み、目撃者に話を聞き、データベース検索を行い、証拠を集めた。請求者と話をする時、調査員はすべての事実を正確に把握していたのだ。
たとえば、あなたが昇進できなかった理由を上司から聞き出したいとする。そのためには、強力な事実に基づいた情報を準備する必要がある。これまでの仕事の成果を時系列で記録し、自分の貢献が周囲からどのように評価されてきたか、信頼できる同僚と個人的に話し合うべきだ。同僚が昇進するまでにどれくらいの時間がかかったか、彼らがどのようなスキルを持っていて、自分のスキルは彼らのスキルとどのくらい合致しているか、さらに現在の事業部門の状況はどうなっているかを把握する。事実に基づいてしっかりと準備することで、説得力が増し、会話を真実へと向かわせることができる。