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リーダーに就任した直後の振る舞いがその後の在任期間を決定づける
新しいリーダーシップの役割に就く時、あなたは極めて重要な局面を迎える。多くの場合、その時の対応がその後の在任期間の展開を決定づける。あなたは引き継ぐチームにどのようにアプローチするだろうか。
筆者が最近コーチングを行ったクライアント(仮にマヤと呼ぶ)は、新しい会社に入って2カ月も経たないうちにみずからのリーダーシップチームを招き入れ、高い社会的信頼と人望を持つ古参のリーダーたちを第一線から外した。彼女の目標は「人材のレベルを引き上げる」ことだったが、この行動が永続的な悪影響を生んだ。筆者が彼女の支援を始めたのはそれから半年後のことで、その時点で彼女が行ったエンゲージメントサーベイは、混乱が収まっていないことを示していた。彼女はみずから招いた不安と不信を払拭できず、従業員たちが次に自分たちの仕事がどうなるのかと危惧する中で、組織文化は不安定になっていた。
大胆な動きは勢いを生むように見えるかもしれないが、同時に抵抗を生み、信頼を失わせ、文化を不安定にさせることもある。最も有能なリーダーは、就任直後に大きな変革を起こしても持続可能な結果をもたらすことはめったにないことを認識している。彼らは、新鮮な視点と既存の人材に対する深い敬意のバランスが取れた、思慮深く戦略的なアプローチを取る。
この重要な転換点を乗り越え、適切に方向性を定め、既存の強みを活用し、目的のある変革を主導するための戦略を以下に解説する。
1. 結論ではなく好奇心を持って主導する
新しい役割で迅速な成果を出すというプレッシャーから、経験豊富なリーダーでさえ、引き継いだチームについて性急な判断を下してしまうことがある。しかし、安易な評価や人材の交代に頼ることは、データではなく、無意識のバイアスに起因していることが多い。「親近感バイアス」により、経歴、興味、経験が似ている人を好むかもしれない。「利用可能性ヒューリスティック」によって、深い分析ではなく、最も強く主張されている、あるいは最も目立つデータポイントに基づいて性急な判断をしてしまうこともある。そして、「ハロー効果」(あるいは「ホーン効果」)により、ポジティブまたはネガティブな第一印象に基づいて、おおまかな判断を下してしまうかもしれない。
チームメンバーを交代させるのではなく、まずは好奇心を持って臨むべきだ。質問をし、状況を観察し、話すよりも聞くことに徹する。彼らは安全だと感じれば、真の能力を発揮してあなたを驚かせるかもしれない。人材の不足だけでなく、隠れた強みや未開発の可能性を見つけるために時間を割くべきだ。
2. 客観的な人材評価をする
バイアスや性急な判断を避けるには、時間をかけて公平な人材評価を実施すべきだ。直勘だけに頼るのではなく、この評価を構造化されたプロセスとして捉える。データを収集し、リスニングツアーを実施して、チームの全体像を把握しなければならない。
・過去1~2年間のチームメンバーの業績評価を確認し、前任者やステークホルダーが彼らの業績をどのように認識していたかを理解する。
・過去1年間の会社のエンゲージメントサーベイまたはパルスサーベイのデータを掘り下げ、リーダーに対するチームの感情を理解し、盲点を見つけ、業績評価だけでは現れないパターンを明らかにする。