
-
Xでシェア
-
Facebookでシェア
-
LINEでシェア
-
LinkedInでシェア
-
記事をクリップ
-
記事を印刷
海外出張のリスクが高まっている
海外出張には常にロジスティクス上の課題がついてまわる。だが最近は変化し続ける政治情勢により、多くの企業が、米国拠点の従業員をいつ、どこに、どのような目的で海外に送り出すか、また海外拠点の従業員をどのように米国に出入国させるかを再検討せざるをえなくなっている。
「企業で出張を管理するマネジャーには、いわゆる『安全配慮義務』があります。それは従業員の所在、安全、連邦政府の要件の遵守を保証する受託者責任です」と、航空業界や旅行業界の企業に助言するマッキンゼーのシニアパートナー、ヴィク・クリシュナンは述べている。「従業員がトラブルに遭うことを望む出張担当マネジャーはいません。だから、最もリスクの高い状況を想定して共通ルールを策定します」
リスクの最低ラインが上がり、政府による規定や要件が日に日に変わる状況では、ルール策定はいっそう複雑になる。その代表例が、トランプ大統領が新たに発令した入国禁止令だ。6月9日時点で、イラン、ソマリア、アフガニスタンを含む12カ国の国民が米国への入国を禁止されており、その他7カ国の国民にも入国制限が課されている。
ビジネス目的の移住に特化したサンフランシスコ拠点の法律事務所、ゴーシュル・ローの主任弁護士であるマルコム・ゴーシュルは、さらに多くの変化が待ち受けているという。「今後、対象が拡大され、より多くの国籍や人々のカテゴリーに適用される、より広範な、新たな入国禁止令が発表されても驚きはありません」。実際、本稿執筆時点で、トランプ政権はさらに36カ国を入国禁止の対象に加えることを検討していると報じられている。その大多数がアフリカ諸国だ。
ますます先の読めない国際情勢に企業が対応するために、専門家は、出張に関わる政策の技術的および人的な側面の両方をカバーするチェックリストの作成を推奨している。次のことに着手しよう。
一時的な就労許可の下で働いている従業員を明確に把握する
手始めに、米国拠点の従業員の状況を明確に把握しよう。どの従業員がスポンサービザや短期就労の資格で働いているか、次の更新期限がいつかをチェックする。「ほとんどの企業はすでにこうした情報を追跡しています。そのため、現在の状況で新たに注意すべき点も、通常行っている対策と比べて特別に負担が大きいというわけではありません」とクリシュナンは言う。