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業績が低迷している時、リーダーに求められること
利益が低迷し、予算は逼迫し、リストラの噂が飛び交う中、チームはあなたに明確な説明と安心感を求めている。チームをパニックに陥れることなく、事業の真の状況について、何を伝えられるだろうか。また、伝えるべきだろうか。どうすれば偽りの安心感を与えることなく、ポジティブな側面を強調できるのか。全員が注視すべき深刻な問題を覆い隠してしまうのは、どのような時だろうか。
専門家の意見
シニアリーダーであるあなたに対し、人々は明確な説明と安心感を求める。しかし、不確実な状況では、そうした確固たる自信を示すことは、表面的に取り繕っている、あるいはさらに悪いことに、嘘をついているように思われることがある。
チームは疑問を抱いている。彼らはその答えが気に入らないものであっても、誠実さを求めており、そうした対応を受ける権利がある、とリーダーシップコンサルティング会社リードスターの創設パートナーで、Spark、Bet on You、Leading from the Front(すべて未訳)の共著者であるコートニー・リンチは述べる。「『私たちは皆で一つだ』とか『心配するな、何とかなる』といった決まり文句に頼ってしまう時がある。しかし、人々が必要としているのは明確さだ」と彼女は言う。「リーダーに、状況を美化したり、チアリーダーになったりすることを求めているわけではない」
しかし、ポジティブさもまた必要だ。不確実性を認識することは重要だが、チームがそれを過剰に分析することにとらわれないようにすべきだと、エグゼクティブコーチで、Red Cape Rescue(未訳)の著者であるダーシー・アイケンバーグは述べる。むしろ、「あなたが目指すべき目標は、チームを『もし~だったら』という思考の混乱から抜け出させ、いま自分たちがコントロール可能な問題に集中できるよう手助けすることだ」。さらに、「ポジティブな側面やうまくいっていることを誇張するために、盲目的な楽天家である必要はない」とアイケンバーグは指摘する。そこで本稿では、その適切なバランスの取り方について紹介しよう。
足元を固める
チームに言葉をかける前に、組織が直面している困難に対するあなた自身の疑念や懸念を整理する必要があるとアイケンバーグは言う。「あなたは『何もかもが崩壊しつつある』という感覚を少し持っていて、たしかにある程度は真実かもしれない。しかし、従業員という集団にとっての会社の声となるリーダーが、そこで行き詰まっていると、人々はそれを察知する」
思考を確固たるものにするために、チーム外の同僚や異業種の仲間に相談し、戦略のストレステストやシミュレーションを行うことをリンチは提案する。「彼らはあなたの考えを前進させ、価値を加え、より思慮深い方法で混乱を理解する手助けをしてくれるだろう」とリンチは述べる。不明瞭なことをチームと話し合えば、彼らに不必要な懸念を抱かせるおそれがあると彼女は言う。
よい点を見出す
困難な問題に取り組む際は、順調に進んでいることを振り返るようアイケンバーグは勧める。即興劇からヒントを得て、相手の発言を肯定してから話を膨らませる「イエス・アンド」の手法を用いるべきだという。「そうですね(イエス)、状況は混沌としています。そして(アンド)、私たちはよい仕事をしています」という具合だ。「相反する2つの意見のようなものを持っていなければならない」。混乱の中でもうまくいっていることを認識すれば、チームもそれを理解できるとアイケンバーグは言う(これについては後述する)。
ただし、ポジティブな点に焦点を当てる際は、ネガティブなことを、市場の状況や景気後退といった外的要因の責任にして言い逃れをしないようにしなければならない。「そうした事実も関係しているかもしれないが、言い訳にしてはならない」とリンチは言う。「責任を負い、改善できる点に焦点を当てるべきだ」