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多くの人が独立するタイミングを間違えている
米国のフルタイムの独立系労働者は、MBOパートナーズの調査によると、2020年の1360万人から2024年には2770万人に増加した。彼らの84%は独立して働くほうが幸せで、健康状態や経済的な安定性も向上したと回答している。自分で道を切り拓く働き方は、かつてはリスクの高い職業選択と見なされていたが、現在では時間や収入を自分でコントロールし、一緒に働きたい人を選びたいという理由から、企業で働くシニアリーダー層でさえも、これを目指すようになった。
では、なぜさらに多くの人が会社を辞めて独立しないのだろうか。その理由の一つは、その一歩を踏み出すタイミングを見極めることが非常に難しく、多くの人がその判断を間違えているからだ。
筆者の一人であるカトリーナは、23歳の時に当時の仕事を辞め、いわゆるマグニフィセントセブンに名を連ねる大手テック企業からの数十万ドルのオファーを蹴って、ソロプレナー(一人起業家)のライターとして世界を旅して回ろうと決めた──少なくとも当初の計画はそうだった。しかし3カ月後、彼女はスターバックスで働いていた。
そこから新しい人脈と機会を築き、自分のネットワークを広げていった。そして、クラウド型CRM(顧客関係管理)プラットフォームのハブスポットなどの企業と業務委託契約を結んで働き、起業家を支援するデジタルプレスでの仕事を経て、M1ファイナンスなど複数のスタートアップを経験し、メディア兼教育プラットフォームである「カテゴリー・パイレーツ」に加わった。
同じく筆者の一人であるエディは43歳の時、コンサルティングファームのシニアパートナーを辞めて独立した。経済的にも職業的にも独立できる十分な基盤を築いてから、かなり時間が経っていた。いま振り返れば、さらに早く決断できたはずだ。先延ばしにしたことで、おそらく数百万ドル分の収入と、家族との貴重な時間を失った。
3人目の筆者のクリストファーは、38歳で独立した。2006年にヒューレット・パッカードに45億ドルで買収されたマーキュリー・インタラクティブで、CMO(最高マーケティング責任者)を務めていた時のことだ。早すぎる転身に思えるかもしれないが、18歳で最初の会社を起業して、上場していたテック企業3社でCMOを務め、アメリカン航空でのフライトが400万マイルを超えていたクリストファーにとって、新しい挑戦を行う機は熟していた。
ちょうどサイドビジネスが軌道に乗り始めているという人は、悩んでいることだろう。では、本業を辞めるタイミングをどのように見極めればよいのか。
筆者ら自身もこの命題についてリサーチを重ね、慎重に検討してから、それぞれ決断を下した。筆者らが運営しているカテゴリー・パイレーツは、この重要な決断に焦点を当てた講習を提供し、ニュースレターを発行して、関連の書籍も執筆している。
すべての人に当てはまる正解は存在しないが、独立して成功したエグゼクティブやリーダーと仕事をしてきた筆者らは、その時を迎えたかどうかを判断するために重要な5つの質問を見つけることができた。
サイドビジネスからのキャッシュフローが本業の収入を持続的に上回っているか
すでに一定期間、サイドビジネスからの収入が本業を上回り続けていることが理想だが、サイドビジネスの成長軌道、価格決定力、スケーラビリティ(拡張性)、クチコミは、独立をより早く決断するための判断材料になる。
力強い成長軌道は、サイドビジネスに専念した場合にどのくらいの成果が見込めるかという指標になりうる。また、サイドビジネスには価格決定力が必要で、これは需要の率直な目安になる。そして、ザピアーのような新しい自動化ツールを活用すれば、時間や労力を追加せずにスケールを拡張しやすくなる。何を売るか(提供するもの)以上に、どのように売るか(ビジネスモデル)が重要なのだ。最後に、自然発生的なクチコミが拡散しやすいことも不可欠である。
ディッキー・ブッシュは20代半ばにして、資産運用会社ブラックロックで年収20万ドルを得ていた。そして、ニコラス・コールとデジタルライティングのビジネスを立ち上げてから14カ月後にブラックロックを辞めた。その時点でサイドビジネスの収入は本業の給与の4倍に達しており、価格決定力、スケーラビリティ、デジタルのクチコミは確実な成長軌道を描いていた。現在、彼らのビジネスの売上げは年間600万ドルを超える。