あなたが利用されていることを示す4つの兆候
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サマリー:あなたの周りに「いつも頼み事ばかりしてくる人」はいないだろうか。人は成功すればするほど、その人脈に惹かれた人々からの一方的な依頼が増えていく。あなたの貴重な時間と親切心は、もしかしたら都合よく利用され... もっと見るているだけかもしれない。本稿では、ネットワークに潜む「テイカー」(利用する人)が発する巧妙な「4つの危険信号」を提示し、自分の価値と時間を守るための戦略的な対処法を伝授する。 閉じる

知人から都合よく利用されていないか

「推薦状を書いていただけませんか。あなたの母校の博士課程に出願したいのです」

 本稿の筆者の一人であるゴティアンは、知り合いではあるものの個人的な付き合いはない人物から、こうしたメールを受け取った。さらに困ったことに、この人物はいつも協力を求めてくるばかりで、見返りに何かをしてくれることはけっしてなかった。

 職業人として成功すれば、人々の目にとまる機会は増え、それに伴って依頼も増える。長年音信不通だった人物が、突然連絡してくる。こうした依頼は、チャンスであるかのように装われることが多いが、実際には時間、エネルギー、社会資本を消耗させかねない。

 ゴティアンは、ノーベル賞受賞者や宇宙飛行士、NBA(全米バスケットボール協会)チャンピオンといった超一流の人々を研究し、彼らについて講演を行っている。もう一人の筆者の、著述家で講演家でもあるクラークは、近著のThe Long Game(邦訳『ロングゲーム』)で、戦略的ネットワーキングなどの長期戦略について記している。2人とも素晴らしい人々からていねいな連絡を受ける一方で、プロフェッショナリズムの基本的な原則に反するようなネットワーキングの依頼も受けてきた。

 実際、そうした依頼は立て続けにやってくる。クラークは数年前、1カ月にわたって受信メールを集計したところ、紹介や推薦状の依頼、「知恵を借りたい」という相談など、毎週平均69件もの依頼を受けていることがわかった。無作法な要求をしてくる見知らぬ人(ゴティアンにメールを送ってきた人物など)に「ノー」と言うことは比較的容易だが、日頃から付き合いのある人々からの依頼を断るのはより難しい。

 筆者らは、自分のネットワーク内の人があなたを利用している可能性を示す、4つの危険信号を特定した。もし利用されているなら、戦略的かつ潔く対応する方法は、習得すべき重要なスキルだ。

1. いつも頼み事をする

 どのような人のネットワークにも、紹介から推薦文、時間のかかる土壇場での頼み事まで、何かを必要とする時にしか連絡してこない人がいる。もし、ある人物から繰り返しアプローチを受けている場合、彼らが常に「テイカー」(利用する人)であるかどうかを公正に評価するために、「寛大さのフィルター」を設けるとよい。次のような質問を自分に投げかけてみよう。

・この人が最後に頼み事をせずに連絡してきたのはいつか。
・その人と交流した後、消耗したり、軽視された気分になったりするか。
・その人は私という人間よりも、私の持つリソースや人脈に関心があるように思われるか。
・その人は、今後は助けになるという曖昧な約束をするが、けっして実行に移さないか。

 こうした人々への協力を断ち、場合によっては接触を制限することは、利己的な行為ではなく、あなたの時間とエネルギーを守るための手段だ。