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成功しても幸福になれるわけではない
ほぼすべての人は仕事やキャリアに2つのものを求めていると言っても過言ではないだろう。成功と幸福だ。
経済的に豊かになり、功績が認められ、可能な限り仕事を楽しみ、その結果として個人としてより幸せになりたいと誰もが願っている。これは合理的な目標だが、実現するのは容易ではない。そのため多くの人、特に野心的で勤勉なリーダーは、この目標を論理的に単純化する。まず成功を追求し、その成功が幸福につながると考えるのだ。
しかし、この考え方は誤りだ。成功を追い求めることには、最終的に幸福度を低下させる代償が伴うことがある。それは、多くの疲弊した孤独なワーカホリック(仕事中毒)が語ることができる。
成功と幸福のどちらかを選ばなければならないということではない。両方を得ることは可能だ。ただし、その順序を逆にする必要がある。まず成功を手に入れ、それが幸福につながることを願うのではなく、自身の幸福を実現することから始めれば、それが成功を高めるのだ。
労働力に関する多くの研究が示しているように、成功と幸福は一般的に正の相関関係にある。この相関関係から、多くの人々は「成功すれば幸福になる」という因果関係を想定する。筆者が企業の経営幹部だった時代、人々は給料の増加、特に大幅な増加が、仕事の満足度に大きく長期的に影響すると強く信じていた。しかし、データが示す事実は異なる。大幅な賃金上昇がウェルビーイングに与える影響は小さく、一時的なものにすぎない。たとえば、ある研究では、仕事の満足度が10点中6点(悪くない点数)だった人が、上司に給料を「2倍」にされたとしても、満足度は約6.5点に達した後、約6.2点にまで戻ることが示された。給料の上昇は仕事を好きになるための最善の戦略ではないのかもしれない。
しかし、研究者が順序を逆にして、成功が幸福に与える影響ではなく、幸福が成功に与える影響を調べると、より強く、より前向きな結果が明らかになった。2005年に学者たちが、その因果関係を確立するための実験を含む数百もの研究を調査し、幸福が結婚、友情、健康、収入、仕事のパフォーマンスなど、人生の多くの領域における成功につながると結論づけた。
雇用者であれ被雇用者であれ、単に成功の指標を高めようとするよりも、仕事や人生における幸福度を高めるほうがよりよい投資となる。当然ながら現実には、単純に「幸せになることを選ぶ」ことはできない。それは筆者自身がよく知っている。筆者が生業として幸福を研究している理由の一つは、自分が生まれつき幸福な人間ではないからだ。一流の研究者は、個人的なことも仕事上のことも、近道は存在しないと断言するだろう。幸福を維持するための適切な習慣を身につけるには、時間をかけて真剣に取り組む必要があり、それは冒険の一部だと筆者は考えている。
しかし、とにかく第一歩を踏み出さなければならず、筆者は今日から始めることを勧める。以下に、あなた自身の幸福のためと、チームのウェルビーイングを高めるための2つの「幸福のエクササイズ」を紹介する。どちらも1週間で完了できるものだ。
自分の仕事がどのように人の役に立っているかを考える
「成功すれば幸せになる」という誤った考えから抜け出す一つの方法が、給料、福利厚生、ストックオプションなど、仕事の目に見える「成功指標」に焦点を当てないようにすることだ。それよりも、仕事の目に見えにくい「幸福指標」に焦点を当てる。