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正しく「イエス・アンド」を使うには
即興演劇の「イエス・アンド」のテクニックは、ビジネスの世界でも長年にわたり、よりよい会議を運営するための強力なツールになっている。
ビジネスリーダーは1990年代から、グループにおいて創造性、協働、問題解決を促すためにこの手法を活用してきた。聞き慣れないという人のために、簡単に説明しておこう。誰かがアイデアを出したら、リーダーやチームメートは、まず「イエス」(はい)と言ってそのアイデアの現実性と価値を受け入れる。さらに、「アンド」(そして)と続けて関連する要素をつけ加える。このシンプルな二段階の応答は、発言者に敬意を示しつつ、議論の流れを維持する。
会社で顧客体験の改善についてブレインストーミングをしている場面を想像してみよう。「イエス・アンド」は、たとえば次のようになる。
A「カスタマーサポートの対応時間を延長しましょう」
B「はい、そして、お客様が電話をかけなくてよいように、ライブチャットも導入しましょう」
筆者は1997年から、テクノロジー、AI、金融、医療、教育、非営利部門などさまざまな業界のリーダーに「イエス・アンド」の手法を教えてきた。スタンフォード大学経営大学院のMBA課程の学生や、スタンフォード継続教育プログラムを通じてシリコンバレーのプロフェッショナルにも紹介してきた。現在も、筆者が経営幹部やチームに提供するコーチングの中核になっている。実際、連携と革新が最も求められる時に、この手法が貢献の機会を生み出し、前進を促すことを目の当たりにしてきた。
しかし一方で、この手法が誤解されたり、誤用されたり、単なる流行語に矮小化されたりする例も見てきた。そのような場合、「イエス・アンド」は力を失い、促進すべき協働をむしろ妨げることさえある。
そこで、筆者が観察してきた中からリーダーが「イエス・アンド」で陥りやすい主な5つの落とし穴について説明し、それを回避する方法を提案する。