-
Xでシェア
-
Facebookでシェア
-
LINEでシェア
-
LinkedInでシェア
-
記事をクリップ
-
記事を印刷
会社が混乱している時、チームを健全に保つには
職場の雰囲気が最悪だ。どこもかしこもピリピリしていて、どんどん人が辞めていく。それが本人の選択によるのか、会社との「双方の合意」によるのかはわからない。職場の雰囲気が有害な状態と紙一重である時、リーダーはチームを安定させるために、いちだんとハードに働かなければならない。チームが機能不全に陥らないようにすれば、失うわけにはいかない人材を引き留める機会が生まれるからだ。
こうしたネガティブな状況における最善の対策とは何か。会社の問題に対して、現実的でありつつ、建設的であるにはどうすればよいのか。会社の混乱がチームに及ばないようにするためには、どうすればよいのか。
専門家の意見
コミュニケーションと信頼が崩れた会社で、チームを率いるリーダーは、無力感に襲われることがある。あらゆることに嫌なエネルギーが入り込んできて、あなたの部下たちも汚染されてしまうかもしれない。だが、チームリーダーは、「自分が思っている以上に大きな支配力と影響力がある」と、カリフォルニア大学バークレー校ハーススクール・オブ・ビジネスの学部長ジェニファー・チャットマンは言う。
「やや有害な会社でも、非常に有害な会社でも、部門ごとにサイロ化するとプラスになることがある」と彼女は言う。「リーダーにとっては、優れた人材の集まる孤立地帯をつくるチャンスだ。つまり、社内の他の組織からの悪影響をブロックする文化をつくることに集中すべきである」
万事順調だと装ってはいけないと、人材コンサルティング会社マリダ・アドバイザーズのCEOナターシャ・ケヒムカーは言う。そうではないことは誰の目にも明らかなのだから。「現実を認めて、実際に起こっていることから隠れようとせず、チームに権限を与え、強いつながりを維持することに注力しよう」とケヒムカーは言う。「一緒にポジティブなものを構築し、混乱の中でもチームが活躍するのに必要なツールとサポートを提供することに集中すべきだ」。以下では、そのための7つの方法を紹介しよう。
独自の基準を設定する
まず、重要なのは、機能不全の職場をしぶしぶ受け入れる必要はないことだ。リーダーは、もっとよい職場をつくることができる。カギは、チームの文化を踏まえて、そうした職場の構築に全員が参加できるようにすることだと、チャットマンは語る。「理想の文化とはどのようなものか思い描き、そこに到達できるような慣習をチームで特定する」。お互いへの接し方についてルールをつくろう。クライアントとの関わり方を決めよう。そして、対立が生じたらどのように対処するべきかについて、チームで話し合おう。「有害な文化から距離を置く方法があることにリーダーが気づけば、部下たちにも伝わる」とチャットマンは言う。
目標は、チームメンバーの発言の機会を増やして、自分たちが主導権を握っているともっと感じさせることだ。チームに「どんな評判を勝ち得たいか」「どのような特徴のチームだと思われるべきか」「他のチームとの違いは何か」と問いかけるよう、ケヒムカーは助言する。「こうしたことを中心にチームの文化をつくるのだ。自分たちが他の部門より優れていると証明するのではなく、他とは一線を画す意図的な文化をつくることを目指すのだ」
よい習慣を強化する
ひとたびチームで協力方法について合意したら、それを日々強化する必要がある。「自分たちの将来が脅かされているとチームが感じている場合、リーダーの仕事は、その不安を払拭して、チームが成果を上げるのに必要な自信を取り戻せるようにすることだ」とチャットマンは言う。そして、「交流の機会をつくり、リーダーが求める新しい行動の模範となるサクセスストーリーを紹介する」ことを提案する。たとえば、コラボレーションを増やしたいなら、チームメンバーが共同で問題を解決した例を紹介して、それがうまくいった理由を説明しよう。
個人の功績だけでなく、チームワークを称えよう。「人が変化に抵抗するのは、変化が嫌だからではなく、リーダーに何を求められているかわからないからだ」とチャットマンは言う。「リーダーがもっと明確に説明すれば、部下たちは思い切って新しい行動を試みるようになる」
リーダー自身が問題の一部にならないこと
あなたのチームは、リーダーが本当にやり方を変えたいのか、それとも同じパターンに陥るのかを見ている。「リーダーがどのように振る舞うべきかは明白であるように見えるが、そうではない」とチャットマンは言う。「リーダーは細心の注意を払い、特定の変化を求めていると言うだけでなく、その模範を示し、それを明言する必要がある」。たとえば、部下たちの声に耳が傾けられるようにしたいと言いながら、実際にはいつもリーダーばかりが話をしていると、自分の言葉の信頼性を傷つけることになる。
あなたの本音は、小さな瞬間に明らかになる。たとえば、戦略や優先課題に関する重要な質問をする時は、「私にアイデアがあるのだが、まずはみんなの意見を聞きたい」と言うことを、ケヒムカーは提案する。そうすれば、あなたが部下たちのアイデアを気にかけており、自分のアジェンダを押しつけているだけではないことを示せる。
避雷針になる
チームに何を伝えるべきか、慎重に考えよう。「リーダーは、チーム間のコミュニケーションの窓口となり、有害性から自分のチームを守る必要がある」とチャットマンは言う。したがって、リーダーは組織全体の変化が自分のチームにどれだけ及んでもよいか判断し、批判と緊張をみずから吸収してチームを救うことができる。「みずからが犠牲になる行為だ」とチャットマンは言う。リーダーは情報をブロックするのではなく、フィルターをかけたり、意味づけをしたりして、チームのエネルギーを温存し、人々を前進させ続ける。
人員削減や競争激化などの大きな問題は明らかにチームに伝えるべきだが、日々の業務とは無関係な暗い情報を伝える必要はないとケヒムカーは言う。「チームに最新情報を提供して、事実を隠さず伝えるべきだが、チームが主導権を握れる領域に集中できるよう支援すべきだ」
インパクトを前面に押し出す
あなたのチームは、みずからの貢献がどのように重要で、会社のミッションをいかに前進させるのかを理解する必要がある。しかし、不健全な文化では、そのつながりをいちだんと明白にする必要があると、チャットマンは言う。そして、チームメンバーが複数のレベルで全体像を把握できるようにサポートし、自分の仕事がチームの目標や部門の目標、会社全体の業績をどのように高めたかを示すよう助言する。「どんな仕事も有意義になりうるが、リーダーはその意義を見出して、際立たせる必要がある」
組織があなたのチームの貢献を認めないなら、証拠を提示する独自の仕組みをつくろう。あるバイオテクノロジー企業のチームは、自分たちの指標の一つを「販売バイアル数」から「助けた患者の数」に変更して、ミーティングは患者の声を紹介することから始めるようにした。「従業員は、自分たちのインパクトについて具体的な証拠を求めている。企業がそうした貢献を認めない場合は、なおさらだ」
空白を埋めるコミュニティを構築する
毎日の仕事が皮肉や機能不全だらけになると、精神的にきつくなる。あなたとあなたのチームは、絶え間ないネガティブな出来事を相殺するものを必要としていると、チャットマンは言う。するとチームメンバーは同僚のことを、同じ混乱に耐える仲間以上の存在と考えるようになり、純粋な人間関係が構築される。チームビルディング活動は、よい出発点になる。「これは『ソフトな対策』として却下されがちだが、実のところ非常に重要になる」と、チャットマンは言う。「それなしでは強力なチーム文化を構築することはできない」
可能なら、リーダーがチームと一緒に地域奉仕活動をすることを、ケヒムカーは提案する。「組織が転落モードにある時、社外で一緒にボランティア活動をすると、レジリエンス(再起力)が高まる」と彼女は言う。「個人を超えた物事に奉仕すると、チームの実力がわかるものだ」
退職面接まで待たない
敵意に満ちた職場にいる人は、「なぜ私はまだここで働いているんだろう」と、しょっちゅう自問するものだ。それは多くの場合、上司との関係に起因していると、ケヒムカーは指摘する。「自分が重要だと感じられることが心の支えになります」。そこで、定期的にチームメンバーと非公式の「ステイインタビュー」を持ち、あたかも「再雇用する」つもりで対話することを、ケヒムカーは提案する。この面接では、「この会社に惹かれた理由は」「このチームに期待することは」「このチームが何を望んでいて、実際には何が起きているか」「このチームが活用できていない強みは」「あなたがフラストレーションを感じていることは」といった質問ができる。「真の懸念が示されたら、それに対処しよう」と、ケヒムカーは言う。
学習の機会も検討するとよいだろう。「能力開発の機会は、自分が大切にしてもらっていると従業員に感じさせることができる」とケヒムカーは言う。「彼らに未来像を示すのです」。研修の予算がない場合は、スキルと経験を積む別の方法をチームと見つけよう。「リーダーはよく、『忙しすぎる』と言うが、物事が下降線をたどっていることがわかっているなら、こうした会話の時間をつくろう。偶然に任せていては、人材を維持することはできない」
覚えておくべき原則
すべきこと
・リーダーが希望する文化につながる慣習の構築に、全員を参加させよう。これには、お互いの関わり方や、クライアントとの関わり方、対立への対処方法などが含まれる。
・チームに多面的なレベルで意味を与え、チームメンバーの仕事がチームの目標や部門の目標、そして組織の目標に与えるインパクトを示そう。
・チャンスをつくることにより、ネガティブな状況を相殺しよう。チームビルディング活動でもよいし、地域奉仕活動でもよいから、信頼とつながりを強化しよう。
すべきでないこと
・変化について話すだけだったり、パフォーマンスじみていること。チームは、リーダーが古いパターンに陥っていないか注目している。自分が期待する行動の模範を示し、そのことを明言しよう。
・経営陣からの最新の暗い見通しを逐一伝えること。チームに最新情報を伝えることは重要だが、戦略的に情報にフィルターをかけて、チームが自分たちで管理できる領域に集中できるようにしよう。
・手遅れになるまで放置すること。ステイインタビューで、「なぜこの会社を選んだのか」「うまくいっていることは」「うまくいっていないことは」といった質問をして、チームメンバーをあらためて募集する。質問の答えに応じて約束を果たそう。
"Protecting Your Team in a Toxic Organizational Culture," HBR.org, September 05, 2025.







