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バーバリーがゲーム会社とコラボレーションした理由
バスティアン・バーグマンは、新著Press Play: Why Every Company Needs a Gaming Strategy(未訳)で、ゲームを顧客獲得に活用する先見性のある企業の事例を考察している。本稿は、同書の内容を抜粋したものである。
ファッションブランドのバーバリーから、新しいコレクションをブロックチェーンベースのビデオゲーム「ブランコスブロックパーティー」内のキャラクターを使って発表したいと持ちかけられた際、共同創業者兼CEOのジョン・リンデンが率いる同ゲームの開発会社、ミシカル・ゲームズのチームは冗談だと思った。しかし、バーバリーは真剣だった。従来の顧客とはまったく異なる期待と購買行動を持つ、新たなデジタルオーディエンスにリーチしたいと考えていたのだ。
バーバリーは、周到な事前調査を行っていた。世界の消費トレンドに関するリサーチにより、ターゲットとなる消費者は単に買い物を楽しむだけでなく、ソーシャルメディアでブランドと交流し、ビデオゲームをし、物理的なモノよりも体験を優先する傾向があることが判明した。パーソナライゼーションが極めて重要だったのだ。
オープンワールド形式でブロックチェーンを基盤とするブランコスブロックパーティーは、理想的なプラットフォームだった。このゲームでは、プレーヤーは「ブランコ」と呼ばれるデジタルのビニール製おもちゃを所有し、作成し、売買し、カスタマイズできる。ブランコは、ポップカルチャーやさまざまなアートスタイルに影響を受けたユニークなデザインと能力を備えている。
バーバリーが目指したのは、ゲーム内で本物のバーバリー体験を提供することだった。チームは「シャーキーB」という新しいキャラクターを開発し、プレーヤーが購入してアバターとして使用できるようにした。プレーヤーはこのキャラクターを、バーバリーの2021年のサマーコレクションの仮想アイテムでカスタマイズすることができ、ハイファッションとデジタルプレーを融合させた。
ジェットパック、シューズ、アームバンドなどのアクセサリーを装備したこの限定版キャラクター(わずか750体)は、両社の提携開始からわずか2か月後に発売され、価格は1体299.99ドルにもかかわらず、わずか22秒で完売した。これはゲーム内アイテムの平均価格に比べて高価だったが、プレーヤーは躊躇しなかった。この価格は、現実世界のバーバリー製品が発するメッセージと同様に、限定性、プレミアムな体験、特別なコミュニティの一員であることを意味していたからだ。バーバリーはこの最初のゲーム体験で、わずか1分足らずで22万5000ドルの収益を生み出した。
それ以上に重要なことは、バーバリーがブランドの本質を保ちながら、新しいデジタルオーディエンスにリーチしたことだ。金銭的な利益だけでなく、バーバリーはビジネスとして新たな機会を創出し、それが今後の取り組みによい影響を与えるだろう。
今日の多くの企業は、劇的に変化した消費者の期待に応えようとしている。人々はものやサービス以上に体験を求めている。なぜなら、体験は消費後も長期間にわたり価値を提供し続けるからだ。
調査によれば、顧客の80%は企業がパーソナライズされた没入感の高い体験を提供する場合、購入する可能性が高くなると回答している。64%は、そうした体験を提供する企業が、リアルタイムで彼らの質問や要望に反応し、返答することを期待している。このデータは、従来のメディアや顧客エンゲージメント、すなわち実証済みのマーケティング手法では、これらの要望を満たすことができないことを明確に示している。たとえば、2020~2024年に1日のテレビ視聴時間が21%減少した一方で、デジタルメディアの消費は2020~2026年に28%増加すると予測されている。このギャップを広げている主な要因こそ、ビデオゲームに他ならない。
誰もがゲームをしている
2024年にほぼ毎日ビデオゲームをする人は33億人に達し、これはインターネットに接続する世界人口の約60%を占める。ゲーミングは、他のどのテクノロジーやプラットフォームとも異なる方法で、私たちの生活に深く浸透しているということだ。
            
    

  
  
  
          
          
          
          
          


