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CEOのリーダーシップに問題がある時、どうすべきか
CEOのリーダーシップスタイルが原因で、問題が解決されるどころか、新たな問題が生じる時、組織のパフォーマンスにまで影響が及ぶ(場合によっては大打撃を与える)可能性がある。マッキンゼー・アンド・カンパニーの調査によると、企業業績の変動の最大45%が、CEOの能力と直接関係しているという。また、ギャラップの調査によると、従業員エンゲージメントの変動の70%は、マネジャーとリーダーが原因であることがわかった。別の言い方をすると、トップレベルのリーダーシップが機能不全に陥ると、たちまちその余波が組織に広がるのだ。
その兆候は簡単に見つかる。人材の流出、イノベーションの停滞、心理的安全性の喪失などだ。それにもかかわらず、取締役会は、好調な業績が続いている限り、こうした危険信号を見過ごすことが多い。このため、シニアリーダーは難しいジレンマに直面する。CEOがリーダーシップスタイルを変える気配がない時、どうすれば自分のチームを守ることができ、順調なビジネスを維持して、チームにプラスの影響を与えられるのか。
筆者らは、エグゼクティブへのアドバイザーやコーチとして(ランディスはエグゼクティブコーチ兼基調講演者であり、フェルナンデスはエグゼクティブアドバイザー兼リーダーシップ能力開発の専門家だ)、この問題を繰り返し見てきた。
たとえば、中堅テクノロジー企業の最高マーケティング責任者であるアレックスのケースを考えてみよう。彼女の会社のCEOは、並外れたビジョンを持つ人物として高く評価されていた一方、短気で反対意見を受け入れないことで悪名高かった。エグゼクティブが集う会議では、自分の直感に沿わない提案を切り捨て、すぐに実行することを要求し、人の発言に口をはさんだ。やがて、取締役たちの辞任が相次いだ。エンゲージメント調査では信頼性の低さが明らかになったが、取締役会が注目するのは四半期ごとの成長だけだった。売上げが伸び続けている限り、CEOが批判されることは、ほとんどなかった。
このような場合、アレックスのようなリーダーには何ができるのか。CEOのキャラクターを変えることはできないが、自分の関わり方や周囲を連携させる方法を変え、パフォーマンスを発揮できる環境を整えることはできる。本稿では、筆者らが関わったリーダーたちが実践して成功した5つの戦略を紹介しよう。
1. 意図を持って上司との関係を築く
上司とよい関係を築くことは、上司をなだめるのとは違う。ポイントは、上司と認識を合わせることだ。まず、「CEOが最も重視する結果は何か」を考えてみよう。
アレックスは、CEOの最優先課題は、迅速な成長と、投資家からの信頼獲得の2つだと考えた。そして、このレンズを通してすべての助言を再構築することにした。懸念を示す時は、SCR(状況、複雑化要因、解決策)フレームワークを利用して、簡潔かつ戦略的であることを心がけた。例えば、このような方法だ。
・状況:「来月、キャンペーンを実施する予定です」






