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必要な時にコーチングが得られない状況をどう乗り越えるか
エグゼクティブコーチングはリーダーにとって非常に有益だが、最も必要な時にアクセスするのが難しい場合がある。
筆者のクライアントであるサイモンを例に考えてみよう。彼はコンサルティング会社の有能な新任幹部だったが、自社が市場の低迷に見舞われた際、上司たちに支援を求めた。コーチングを約束されたものの、彼の困難が積み重なったタイミングで、会社はコーチングへの資金提供を廃止してしまった。彼はアップデートされた営業戦略を必要としており、引き継いだチームはリストラの危機に直面して意欲を失っていた。まさに状況が最も厳しくなった局面で、混乱をすべて独力で乗り切ることを余儀なくされたのである。
こうした状況は珍しくない。今日のリーダーはかつてないほどの複雑性、急激な変化、高まる期待にさらされている。しかし、支援体制は同じペースで進化していない。予算削減、承認のボトルネック、組織文化の障壁などが理由で、支援の手が回る頃には機会が過ぎ去っていたり、問題が悪化していたりすることが少なくない。コストを低く抑えざるをえない小さな組織では、そもそもコーチングが提供されないこともある。
より多くのリソースを持つ組織のリーダーでさえも、自分の能力が不足していると見られることを恐れ、助けを求めるのを先延ばしにする場合が多い。チーム内の政治から戦略の方向転換までを含め、今日の問題の進行スピードと繊細さを踏まえれば、正規のコーチングが常に提供できるものよりも、より迅速かつ慎重で手の届きやすい支援が求められる。
ここで役立つのが、セルフコーチングだ。エグゼクティブコーチングと同等の代替手段としてではなく、特に大きなリスクとプレッシャーを伴う局面で、リーダーが自分自身を支えるための重要なスキルセットとして機能する。しかし、私たちは再起力(レジリエンス)や敏捷性(アジリティ)について語ることはあっても、リーダーに自分自身をコーチングする方法を教えることはめったにない。本稿ではこの不足した状況を埋める方法について述べる。
実際のリーダーシップの問題に向けた、セルフコーチングのフレームワーク
SOLVE(ソルブ)のフレームワークは、筆者が20年以上にわたりリーダーを対象に協働と研究を行う中で開発した、実践的で研究に裏づけられた手法である。筆者が観察してきたところ、リーダーは複雑な問題を乗り越えるためのシンプルかつ効果的な方法を必要としている。一歩下がって起きていることを分析し、そのうえで個々の状況に見合った形で、自信を持ちつつも慎重に前に進むための方法だ。SOLVEは実際のリーダーシップの課題に向けて現場で設計されたモデルであるため、問題が錯綜していたり、感情が絡んでいたり、政治的にデリケートな場合でも効果を発揮する。
その仕組みを以下に紹介しよう。
問題を言語化する(S: State the Problem)
あなたはリーダーとして、複数のステークホルダーたちの懸念が絡み合った「もつれ」を抱えることが頻繁にあるだろう。問題を自分で言葉にする際には、核心的問題を1~2文のみで明確に表現することで、そのもつれを解きほぐすことを目指す。これにより、圧倒されている状態から、焦点が定まった状態へと移行することができる。コーチングを受ける時と同じように、問題を正確に述べることで、可能な解決策に関する洞察が生まれる。
問題を言語化する際には、次の指針を念頭に置こう。
・文言は2文以内に収める。長すぎて短縮できないのであれば、あなたは複数の問題に向き合っている。それらを別々に分けて、一度に一つずつ解決しよう。






