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顧客開拓コストこそeマーケティングの課題
現在、インターネットでは160万以上の商業サイトが運営されており、熾烈な集客合戦を繰り広げている。オンライン小売企業、すなわち「eリテーラー」たちが、星の数ほどあるサイトのなかで自分たちのサイトを際立たせ、ネット・ショッパーたちを呼び込んで買い物をしてもらうには、莫大なマーケティング・コストがどうしても必要となる。
事実、多くのeリテーラーは、1人の新規顧客を獲得するのに平均100ドル以上を費やしている。なかには、何と500ドル以上を注ぎ込んでいるところすらある。高価なチケットや利ざやの大きい商品、あるいはリピート・オーダーが確実な商売ならば割に合うかもしれない。
だが、ほとんどのeリテーラーにとって、これほどのコストを投じるのは自殺行為だ。
何しろ顧客開拓コストの平均額が、顧客生涯価値(1人の顧客がある期間中に企業にもたらすであろう財やサービスの購入金額の合計)のそれを上回ってしまっているのだから。
ごく最近までなら、「インターネット市場で地歩を固めるには、それなりのマーケティング・コストが必要なのだ」と投資家たちを説得できた。
いまや審判が迫られている。顧客開拓コストを採算に見合うまで引き下げられる企業には成功のチャンスがある。それができない企業は淘汰されるしかない。
我々は7年間にわたり、オンライン・マーケティングの研究に携わってきた。その過程で、顧客開拓のさまざまな手法を試行錯誤する様を見てきた。なかでも飛び抜けているのが、音楽関連製品の小売業者、CDナウである。この企業も他のeリテーラーと同様に、インターネットによる価格破壊のなかで利益を上げようと苦心惨澹してきた。
とは言っても、CDナウは1994年の設立当初から非常に人気のあるサイトで、99年秋の調査ではアクセス数で第4位のショッピング・サイトにランクされている。しかも、1日当たりのアクセス数は70万回、ページ・ビュー(1サイト内で閲覧された延べページ数)は500万回に上り、1999年第3四半期だけで31万4000人の新規顧客を獲得している。
CDナウは最も強力なオンライン音楽サイトであり、2000年2月には購買者数でアマゾン・ドットコムを抜き去った。毎日の購買件数は100万件以上に達するという。
それには理由がある。CDナウはさまざまな顧客開拓戦略を統合させた最初の企業の一つなのだ。同社の戦略には、オンライン・ビジネスの経済性に関する高度な知識が反映されている。



