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特定の人に仕事が集中することの弊害
チーム会議の後、筆者のクライアントは鋭い指摘をした。私立の研究大学でシニアエグゼクティブを務めるマリアンは、上司と目が合っただけで新しい仕事が舞い込んでくると冗談を言った。しかし、そのユーモアの裏には、切実な不満があった。彼女の上司は、他の同僚が能力不足だからではなく、マリアンが仕事をやり遂げることで知られているために、彼女ばかりに仕事を与えていたのだ。この信頼性の高さが、いまや彼女をバーンアウト(燃え尽き症候群)へと追い詰めていた。
マリアンのような状況をエグゼクティブチームにおいて目にすることが増えている。多くの組織がレイオフや予算削減を進めているが、従業員に対する期待値は下がっていない。シニアリーダーは、人員やリソースが削減された中で、依然として野心的な目標達成を求められている。追加の仕事が発生し、担当者が明確でない場合、上司は最も頼りにできるリーダーに任せることが多い。
筆者はこの現象を、仕事の「マグネット効果」と呼んでいる。パフォーマンスの高いチームメンバーが、仕事を極めて優秀にこなすことで、意図せず追加の仕事を引き寄せてしまう状況だ。マリアンの事例がそうだったように、この問題はプロジェクトの過負荷を引き起こし、リーダーの戦略的な集中力を低下させ、結果として彼らの全体的な有効性を損なう可能性がある。
仕事の「マグネット効果」への対処法
もしあなたがそうした信頼できるリーダーで、このマグネット効果が自身に起きていると思うのであれば、対処する方法がある。その第一歩は、この問題を引き起こしている要因を特定することだ。この課題に直面するリーダーとの協働を通じ、筆者はその要因が個人の強みと組織の弱点の組み合わせであることを発見した。
個人の強み:
・仕事の質:確かな実績があり、優秀な成果を出している。
・コミュニケーション:上司や他のリーダーと強固で信頼に基づく関係を築いている。
・献身性:最後までやり遂げ、納期が厳しい状況でも引き受ける。
組織の弱点:
・可視性の欠如:上司や同僚があなたの仕事量を正確に把握していない。
・委任の欠如:上司が新しいタスクを委任するための明確なプロセスを持っていない。
・認識の欠如:プロジェクトの担当が偏っていることに上司が気づいていない。






