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戦略的に重要な顧客との関係構築を軽視していないか
戦略的に重要な顧客(戦略的アカウント)への対応に本気で取り組む企業は、高い成果を挙げている。顧客との大規模かつ複雑なパートナーシップを軸に、戦略・チーム・リソースの整合性を高める試みを「戦略的アカウントマネジメント」(SAM、Strategic Account Management)と呼ぶが、このSAMが企業の成長にとって不可欠であることは、多くのCEOが認識している。
その一方で、多くの組織においてSAMの勢いが失われつつあることを示す証拠も上がっている。戦略的アカウントマネジメント協会(SAMA)の内部調査によれば、SAMプログラムの中止や停滞の最大の理由は経営陣からの支援不足だという。
SAMAとZSによる共同調査でも、SAMの急激な減少が浮き彫りになっている。SAMを明確な戦略的優先事項と見なす企業の割合は、2020年の65%から、2025年には33%にまで低下した。現在では、回答者の約3分の2が、SAMは重要性を失った、優先順位の低下リスクに直面している、あるいは優先事項であったことは一度もないと答えている。
筆者らは数十人規模の経営幹部や戦略的アカウントチームと取り組みを進めてきたが、そこでの経験もこうした傾向を裏づけている。筆者らの経験を通して、真の意味でのSAMの実践と、象徴的あるいは表層的な関与との間には以下の4つの違いが存在することが明らかになった。
・単に営業チームとしてではなく、戦略としてSAMを信じる。
・四半期ごとではなく、年単位の時間軸を持っている。
・スター人材を採用するだけでなく、彼らが成果を挙げられるよう尽力する。
・経営幹部がトップの座に隔離されることなく、戦略的アカウントと関わり続ける。
本稿では、企業が戦略的アカウントとの関係を改善するための方法について概説する。
単に営業チームとしてではなく、戦略としてSAMを信じる
企業は往々にして、SAMを営業機能と捉えがちだ。具体的には、手厚い対応を行うアカウントカバレッジの一形態、実態以上に持ち上げられた営業チーム、あるいはベテラン営業担当者向けの聞こえのよい肩書きだったりする。
そうなると、SAMの本来の目的は失われてしまう。営業機能として扱われると、SAMの重点は、案件のクロージングや、テリトリー、パイプライン、ノルマ、短期的成果に連動したインセンティブによる管理に向けられてしまう。一方、SAMを戦略として捉えると、顧客ベースの優位性を創出、維持する方法の特定や、企業の持続的成長の推進にまで焦点が広がっていく。レビューの際の問いかけも、「今四半期にいくつの契約を成立させたか」から、「今後3年間で、この顧客とのパートナーシップと相互価値をどのように高めていくのか」へと変化する。
最大の効果を挙げている企業は、SAMを営業チームとしてではなく、戦略的成長プラットフォームとして扱っている。そうした企業は、SAMに取り組む明快な理由と、なぜいま、それが重要なのかを明確に定義している。
また、収益の集中度合い、影響力、共同イノベーションの可能性、パートナーシップへの意欲、ライフタイムバリュー、リスクなどの基準を用いて、真の意味で戦略的関与に値する顧客を見極めている。そして、そうした優先順位に沿った形で、部門横断型のリソースやデータ、投資を編成する。この姿勢によって、取引から変革へ、四半期単位での数字の競争から、長期的な戦略的価値の構築へと軸足が移るのである。







