-
Xでシェア
-
Facebookでシェア
-
LINEでシェア
-
LinkedInでシェア
-
記事をクリップ
-
記事を印刷
変革の時代にあったKPIで成果を測っているか
私たちはいま、新しい時代に生きている。筆者の言葉を使えば、今日は「変革の時代」だ。ひっきりなしに刷新が繰り返され、静的なプランではなく、部署の垣根を越えた臨機応変な活動を通じて戦略が実行される。
このような環境で戦略の変更を実現させる主たるメカニズムは、プロジェクトだ。それは、新しいデジタル製品のリリースに向けたプロジェクトの場合もあれば、AIの導入、サプライチェーンの再設計、ESG(環境、社会、ガバナンス)関連の公約達成などを目指すプロジェクトもある。
このような時代の変化とともに、プロジェクト主導型組織(PDO)とでも呼ぶべきタイプの企業が出現している。組織構造やリーダーシップのあり方、そして価値の生み出し方に関して、プロジェクトが中心的な役割を担っている企業モデルのことだ。PDOの場合、変革はそれだけを他と切り離して実行されるものではない。変革を通じて戦略が実行されるのだ。
ところが、企業がプロジェクト主導型の度合いを強めようと奮闘しても、目に見えない壁にぶつかるケースが珍しくない。稼働率、一定期間内の生産能力、コストの抑制、四半期ごとの利益率など、過去に成功をもたらした指標を用い続けている企業があまりに多いのだ。
変革駆動型の環境では、このような指標を参照しても、自社が成功に向かっているかどうかは見えてこない。いま重要なのは、プロジェクトが戦略と合致しているかどうか、重要な意思決定がどれくらい迅速に行われているか、チーム活動の焦点が絞れているか、有意義な価値を早期に生み出せているかといったことだ。こうしたことを、プロダクトをリリースした何カ月も後ではなく、戦略を実行する過程で把握する必要がある。
常に変化が起きており、安定的な定例業務だけでなく、新しい取り組みを通じて少しずつ価値が生み出されていくような世界では、旧来の成果指標では極めて不十分だ。
マッキンゼー・アンド・カンパニーの最近の調査もこうした現実を裏づけている。真の変革に成功する企業は、戦略の実行について綿密に数値評価を行い、リアルタイムでの指標の追跡をリーダーの日常業務の一環と位置づけ、変革で目指す目標に沿ったインセンティブを採用している。
もしあなたの会社がいまだに定例業務に関するKPI(重要業績評価指標)を基準にしているとすれば、弊害は、単に指標がずれていることだけに留まらない。新しい取り組みがまだ始まってもいないうちに、期待したような価値を生み出せなくなるのだ。
プロジェクト主導型組織にふさわしい、新しい指標が必要である。不安定で変化の速い環境で価値を生み出すための指標を採用しなくてはならない。
変革の取り組みを数値評価することは可能だ。企業の未来志向の度合いも数値評価できる。ビジネスの世界には、変革の取り組みはあまりに曖昧で、あまりに流動的で、あまりに複雑であるため、数値計測が不可能だという考え方がある。しかし、それは大きな代償を伴う固定観念にすぎない。そうした思い込みは、知らずしらずのうちに、ガバナンスがお粗末だったり、意思決定が遅かったり、リソースの配分が適切に行われていなかったりすることの言い訳になってしまう。
本稿では、旧来の成果指標を捨て、新しいプロジェクト主導型のKPIを採用するための方法を紹介する。まず、旧来型のKPIとプロジェクト主導型のKPIを比較して分析する。そのうえで、変革で重要な4つの要素を検討する。それぞれの要素の指標を数値計測する方法に関して事例も取り上げる。そして最後に、指標を一覧にして、自社で進めている変革のポートフォリオの状態をリアルタイムで把握できる方法を紹介する。
旧来型KPIとプロジェクト主導型KPI
これまでビジネス界が何十年も重んじてきた指標の多くは、もはや目的を果たせなくなっている。それどころか、変革の足を引っ張る指標まである。
たとえば、生産性の指標。このスコアが高ければ、一見すると効率が高そうに思えるかもしれない。しかし実際には、生産性のスコアが高いのは、燃え尽きが起きていたり、活動が散漫になっていたり、努力の方向がずれていたりすることの現れの場合も多い。また、予算を超過せずにプロジェクトが進行していても、そのプロジェクトの戦略的価値はゼロというケースもありうる。従業員の勤怠管理のためのタイムシートがぎっしり埋まっていても、適切な仕事がなされているかどうかはまったくわからない。
次の表では、プロジェクト主導への移行に伴い、マインドセットと指標がどのように変わりつつあるのかを簡単に概観する。
この表に挙げたものは、出発点にすぎない。プロジェクト時代の指標は、増え続けている。データの質の向上、データ分析手法の進化、リアルタイムの透明性の拡大がそうした変化を牽引している。








