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職場の負担が過度に集中する時
筆者の顧客である「ローラ」(ある大企業の上級幹部)が先頃、こう打ち明けた──「皆に頼られることに疲れてしまいました」
ローラの職場では、最近就任した上司が社内政治や縄張り争い、自己アピールにばかり血道を上げる一方で、プロセスの破綻が頻繁に起きていた。そして、問題が発生すると、いつも決まって皆の視線がローラに注がれた。問題を修正できる人物だと思われていたからだ。
次第に、ローラの能力は、職場のシステムを守るセーフティネットのようになっていった。困ったことが持ち上がり、ローラが問題を解決するというパターンが繰り返されればされるほど、他の人たちはますます何もしなくなった。
しかし、そうやって頼りにされるようになると、ローラが直面するリスクが高まっていった。それまで苦労して育んできた影響力が揺らぎ始めたのだ。といっても、それはローラが有能でなくなったからではない。板挟みの立場に立たされるようになったのだ。
出しゃばっているとか、強引すぎるといわれることが多くなったが、ローラが取っている行動はすべて、システムを機能させ続けるために必要なものだった。「私はいつも問題を解決し、上司が評判を落とさずに済むようにしてきました」と、ローラは語った。「そういうことに疲れてしまったのです」
上層部の交代、内部対立の激化、プロセスの破綻など、激動と混乱に見舞われている組織は本能的に、内部で最も有能な人物に頼ることにより、安定を取り戻そうとする。そうした能力あるリーダーたちは、言ってみれば「衝撃吸収材」の役割を果たすのだ。そのような人たちは、他の人たちが別のことに関心を奪われていたり、積極的な参加姿勢を失っていたりする時に、破綻しているものを修繕し、対立を仲裁し、パフォーマンスを維持する。
しかし、頼られるリーダーたちは、システムが自分に過度に依存し始めた時点ではそのことに気づいていない場合がほとんどだ。そうした状態は、はじめは信頼から始まり(「あなたなら対処してくれると信じている」)、いつの間にか依存へと変質していく(「あなたがいなければ対処できない」)。
一部の有能なリーダーに過度に依存することにより、組織は差し当たり機能し続けることができるかもしれない。しかし、その結果として、組織の適応力は失われる。このような方法で安定を獲得すると、その組織には代償がついて回る。戦略面の能力が弱まり、政治的なリスクが集中し、頼りにされるリーダーのイメージがいつの間にか限定的なものになってしまう。
有能であることの落とし穴
CEOと取締役会は、組織が一部の人に過度に依存する状態になっていても気づかない場合が多い。往々にして、ひずみではなく安定にしか目がいかないのだ。業務が前に進んでいるということは、きっとシステムが健全な状態にあるのだろう、と思い込む。しかし実際は、一人の有能な人物が能力を酷使することにより、破綻を免れているにすぎない。







