このように、3Sを継続的に実施することができれば、長期的には、S(安全性)・Q(品質)・C(コスト)・D(リードタイム)の改善に繋がる効果を得ることができ、企業の競争力向上に結び付けることができます。

なぜ3Sの徹底は
問題発見・活動継続に結びつくのか

 それでは、なぜ3Sの徹底は問題の発見に結び付きやすく、長期間活動を継続させやすいのでしょうか。もちろん、3Sはシンプルで誰にでも判りやすく、実施する際にコストがあまりかからないので、実施面でのハードルが低く、活動を継続させやすいという側面はあります。しかし、3Sの徹底が問題発見・活動継続に結びつく論理とはどのようなものでしょうか。

 ここで、問題とは、目的や目標と現実・事実との間に存在するギャップのことです。人が「問題だなあ」としみじみ実感するためには、この目的と事実の両方が明確に識別されている必要があります。逆に言えば、新たな問題を発見するためには、以前とは異なった新しい目的を認識するか、以前には明らかになっていなかった新しい事実を認識するかのどちらか、あるいは両方が必要になるのです。

 実は、3Sを徹底することで、新たな目的や事実の認識に繋がり、新たな問題が発見されるフィードバックループが機能するために、3Sは活動の継続に結びつきやすいのです。それでは、このフィードバックループが機能する論理とは、どのようなものでしょうか。

1.「整理」が問題発見・活動継続に結びつく論理

 まず、「整理」がさらなる問題発見・活動継続に結びつく論理には、以下の2つが考えられます。

 第1に、明らかに不要だと思われる物を捨てると、以前はグレーゾーンとして放置されていた物が次第に気になりだすという現象があります。これはもう少し厳密に言うと、捨てるという行為を通じて、職場や仕事の目的がより限定され、明確になっていくことから発生する現象です。