そもそも最初にある物を不要だと判断した背景には、意識しているか、いないかは別として、仕事の目的があったはずですが、不要な物を捨てると、以前の目的からすると不要だと決めつけるほどではないが、何も付加価値を生んでいるとは思えないグレーゾーンの物が、問題としてクローズアップされ出し、なぜこの物は不要だと決めることができないのだろうか、という疑問が浮かんできます。
そして、捨てる際の基準、逆に言えば仕事の目的が不明確なために判断ができないことが自覚され、いわばグレーゾーンの物と目的を交互に比較しながら、現実に即した形で新たな捨てる基準が整備され、より限定された新たな目的意識が芽生えてくるのです。
ここで重要なことは、頭の中だけで目的を展開するのではなく、職場にある様々なグレーゾーンの物を実際に目の前にしながら、捨てる際の基準を考えることで、逆算して仕事の目的を展開するという思考法です。捨てる際の基準から逆算して目的を展開するからこそ、現実から乖離しない目的展開が可能になり、思考がドライブされます。職場の仕事の目的が明確になり、捨てる際の基準が明確になれば、次々と不要なものが見えてくるはずです。
「整理」がさらなる問題発見・活動継続に結びつく論理の第1は、このようなグレーゾーンの物から逆算して、捨てる際の基準を見直し、より限定された目的を展開し続けることにあります。そして、この論理は、新たな目的を認識することに繋がるので、結果として新たな問題の発見に繋がるのです。
第2の論理は、捨てること自体が心地よいという、ある意味で単純な論理です。例えば、不要品を捨てるという行為は、乱雑な職場に対する初めての介入経験で、自らの職場の秩序を自らの手で形成する第一歩ですが、このような経験を通じて達成感・充実感をさらに味わいたいとか、乱雑な職場に対して秩序をもたらすことで、空間の秩序化が思考や感情の秩序化に繋がり、すっきりとした感覚を感じることができ、この感覚をさらに味わいたいといった事例が挙げられます。