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解約が容易であることは義務化されている
サブスクリプション経済は、過去20年における最も重要なビジネスモデル変革の一つである。その範囲はメディア、ソフトウェア、食品・飲料、健康・ウェルネス、eコマース、通信に及ぶ。総収益は2024年時点で推計約5000億ドルに上り、2033年までに1.5兆ドルを超えると見込まれている。米国の平均的な消費者は現在、7~12件の有料サブスクリプションに加入している。
サブスクリプション事業を運営する経営幹部にとって、差し迫った戦略的問いがある。利益が出る形で契約者を獲得し、長期にわたって維持するにはどうすればよいのか。そして同じ経常収益を追い求める競合他社に対し、自社のポジションをどう取ればよいのだろうか。
戦略的関心の大半は、価格設定、機能のバンドル化、解約のモデリングに向けられる。だが筆者らの研究は、顧客獲得、競争上のポジショニング、長期的な収益性を左右する最も重大な決定の一つが、サブスクリプション契約の細則の中に隠れていることを明らかにした。それは「更新の初期設定」だ。トライアルが終了した時に、サブスクリプションが自動更新されるのか、それとも自動解約されるのか、である。
これはバックオフィスの判断事項ではない。どの顧客を引きつけるのか、または遠ざけるのか、ライバルとどう競争するのか、会員基盤が資産となるのか負債となるのかを左右する、戦略的な選択である。そして大半の企業は判断を誤っている。その理由は間違った初期設定を選んだからではなく、そもそもこの選択を戦略的判断であると認識していなかったからだ。
一方、消費者側は抵抗の姿勢を見せている。望まない課金から逃れられるよう人々を支援するために、サブスクリプションを追跡するツールや、請求のキャンセルを行うアプリの小規模な業界も現れた。米国では、連邦取引委員会が2024年10月に「ワンクリックで解約」ルールの最終規則を発表し、解約を申し込みと同程度に容易にすることを企業に義務づけた。EUも同様の義務を課している。
摩擦なき搾取の時代は、終わりつつあるのだ。そして筆者らのデータは、消費者がすでに、ほとんどの企業の想定よりもはるかに賢く立ち回っていることを示している。
標準的な手法の隠れたコスト
更新の初期設定が筆者らの推測したような戦略的影響を及ぼすのかを検証するために、筆者らは欧州の大手新聞社と共同でフィールド実験を実施した。140万人の読者(記事の閲覧中にペイウォールを表示された人)を対象に、トライアル終了後に自動更新されるか自動解約されるか、およびトライアルの期間と価格に変化を持たせた定期購読のオファーをランダムに提示し、20カ月以上にわたって追跡した。
結果は、あらゆる面で従来の通念に疑問を投げかけるものだった。自動更新は、トライアルへの申し込み率を35%低下させた。つまり、自動解約型のトライアルに申し込む読者100人に対し、自動更新型のトライアルを試す読者は65人に留まっていた。
自動更新はトライアル終了後の短期的な購読維持率を20~38%押し上げたものの、この優位性は次第に失われ、約1年後には逆転された。観察期間全体で見ると、自動解約のほうが合計で23%多く有料会員を生み出した。
購読獲得の抑制効果は、購読維持率の優位性では挽回できないほど大きかった。それどころか、自動更新を提示された消費者はその後、同新聞のすべてのチャネルにおいて、無関係なオファーも含め、購読の可能性が低下したのである。惰性につけ込んだ契約を提示されたという経験が、彼らを同ブランドから完全に遠ざけたものと思われる。







