「なぜか?」を質問し続ける

 質問者の会社は、毎月業績評価をしているようですが、その方法としては、上司と部下で1カ月間の営業成績データとそれまでの活動を振り返ることをお勧めします。課題の明確化と解決策についてはすでに個別に討議しているわけですから、毎月のレビューではデータをベースに、実際の活動の進捗や改善点などを話し合うのです。結果が数字で示されているので、これらをベースに話し合えば、いかなる言い訳も弁明も通用しません。営業のバリューチェーンを見直し、どこに問題があったのかをさらに理解するために、活動内容について緻密に質問してください。「なぜか?」という質問は、“言葉による分析”です。成果が上がらなかった原因を再度徹底的に討議する際、必ずこの「なぜ?」を投げかけるようにしてください。

 以上をベースに、部下たちは、より成功確率の高い新たなチャレンジに取り組みます。

 PDACは、業績向上に向けて営業活動のプロセスを管理する手法ですが、これを繰り返すことで、部下のスキルはもちろん、管理職の指導力・育成力も格段に強化されます。再度述べますが、重要なのは、自社における最適な営業バリューチェーンを描き、そのフレームワークに従って、部下の活動内容、課題の認識と解決策について部下の意見を求めること。「なぜか?」を質問し続けること。そして、時には営業成績を確認しつつさらに討議を重ね、課題を共有することです。

 市場環境も顧客の状況も時代と共に変化の速度を増していきます。年度末には、次年度目標の設定の重要性を十分認識し、期中は進行形の営業活動について定期的に討議しつつ改善を図る努力をすることが大事なのです。すなわちそれは、顧客に喜んでもらうために「自分たちは何をすべきか」「何ができるか」を見つめ直すことになるのですから。


◆PDCA活用のポイント◆
1.PDCA(①plan-②do-③check-④action)の各サイクルでチェックすべきことを正しく理解する。
2.営業成績不調の部下は、PDCAサイクルを分析し、「何が問題なのか」を明確にする。
3.新しい取り組みにチャレンジさせることで、「自己流」の営業活動を改めさせる。

◆具体的なアクション◆
1.部下の課題を特定・共有したうえで、チャレンジ可能な目標を設定する。
2.毎月、営業成績をベースに、実際の活動の進捗や改善点を話し合う。
3.その際、部下の意見を聞き、ポイントごとに「なぜか?」質問して課題を共有する。