Step2◆目標値が営業の「行動」を決める
みなさんの会社では、どのようにして目標値を決めていますか?
成果主義評価は目標値の設定から始まりますので、ここで間違えると、以降のプロセスでいくら努力しても成果が表れません。よく見かけるのは、前年度の成績と、次年度に本社から期待される部門成長率とをはかりにかけながら目標値を決めるというやり方ですが、これは間違いです。その理由は、現状の肯定からスターしているからです。
あろうことか前年度の成績が思わしくない場合(目標未達)、目標値を下げるケースが見られますが、「数字を下げて目標を達成しました」というのは、ビジネスの世界では通用しません。本来、営業目標とは、営業個々人の「営業活動の流れ=プロセス」(対象顧客を決める、訪問先を決める、資料を準備する等々。「営業のバリューチェーン」と呼ばれています)を押さえたうえで、「どのような営業活動をどのように実施してきたか」「どこに問題があったのか」「その問題点を解決するためにどのような対策を打てばよいか」を部下個々人と討議して、部下の業績が低迷する理由を明らかにし、その弱点を強化する方法とセットで設定すべきもの。たとえ前年度の目標が未達であっても、より高い目標値にチャレンジさせるべきなのです。
ここで特に重要なのは、「何が問題なのか」を明確にすることです。部下は言い訳を並べ立てますが、「なぜそうなったのか?」「どうしてうまくいかなかったと思うか?」という質問を繰り返し、営業個々人の課題の特定と、その共有を図るようにしてください。目標設定は、個人の活動内容を緻密に分析して課題を発見し、その解決策を上司と部下が共に考えることに意味があるのです。単に数値を決めて叱咤激励するためのものではありません。
意義ある目標値が設定されてこそ、営業活動は活きたものとなり、成果につながります。営業成績を上げられない人の多くは「自己流」を押し通しますが、そのような「過去の悪い癖」を改めさせるには、新たな目標を達成するためにこれまでにない取り組みにチャレンジさせることが最も効果的です。とはいえ、悪い癖を正すことはなかなか難しいものですから、急がば回れと言うように、ある程度の期間は部下に任せて新しい取り組みに専念させましょう。部下の行動をたえずチェックして小言を言う上司は、部下を委縮させてしまい逆効果です。