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出世のため、上層部との関係ばかり重視していないか
上を目指すなら、自分より上の立場にある人と関係を築くべきだとよくいわれる。上層部にアピールし、影響力のある幹部とつながり、有力な後ろ盾を見つけなさい、と。たしかに、昇進や戦略的プロジェクト、キャリアを左右するチャンスに対して影響力を持つのは上層部だ。しかし、そうしたつながりだけに依存していると、優秀な人材でも壁にぶつかる可能性がある。
上層部との関係は重要だが、キャリアに影響する評判がそのレベルだけで築かれることは稀だ。むしろ同じ立場の人間やチームメンバー、部門横断的な役割の人、自分の職務とは直接関係のない人や組織外の人を含む、広範な人間関係のエコシステムの中で形成される。組織がますます相互につながるにつれ、評判は階層よりもネットワークを通じて広まるようになっている。
組織ネットワーク理論の研究によれば、個人の影響力は、単に人脈の数ではなく、ネットワーク内でのポジション、特にそれまでつながっていなかったグループ同士の橋渡しをする立場にある時に高まる。言い換えれば、影響力は、単純に権力に近いかどうかではなく、ネットワーク全体の中で関係者から得られる信頼によって増す。
上昇志向の人が上に認められることばかりに気を取られていると、注目は得られるが、信頼を築けないことがある。つまり上層部には知られるが、日常的に一緒に仕事をしている人々から疑問視されたり、反感を買ったりする。そうした相手は一緒に昇進したり、将来的に自分に先んじて昇進したりする。マトリックス組織が増えているいま、そのアンバランスさは有望なキャリアを停滞させかねないのだ。
上級管理職を目指す人は、組織内外のあらゆるレベルの主要なステークホルダーについて、広く理解する必要がある。意思決定者だけに焦点を当てることから、周囲のあらゆる人々と強力な関係を築くことへと意識を転換する必要がある。
身近にいる人々を無視しない
組織ネットワークに関する研究は、影響力が単純に階層を伝うわけではないことを、繰り返し示してきた。バブソン大学准教授のロブ・クロス、ペンシルバニア大学ウォートンスクール上級講師のレブ・リベル、そして同校教授のアダム・グラントは、『ハーバード・ビジネス・レビュー』(HBR)の論稿「『コラボレーション疲れ』が人を潰す」で、正式なレポートラインを越えた協力関係や信頼が築く非公式のネットワークこそが、組織内の仕事を動かしていると指摘している。言い換えれば、あなたの評判をつくるのは、あなたが最も認めさせようとしている相手ではない可能性がある。
この力学は、あるメンティとのセッションで明らかになった。その上級管理職は、重要な同僚との関係に苦心していた。彼女は自分が昇進するたびに繰り返される同僚の嫉妬に、出世を邪魔されていると感じ、いら立っていた。
しかし実際のところは、彼女が短期間で類稀な成果を出し、会長から公に称賛されたことが同僚や上司に脅威を与えていた。そして、彼女がチームの増員やメンバーの昇進といった重要なリソースや評価を獲得していたことで、彼女への反感はさらに強まっていた。
彼女は、チームメンバーが自分のリーダーシップスタイルに関して苦情を申し立てていたことを知ったが、内容ははっきりしなかった。具体的な事例も、証拠も示されなかった。人事担当に聞いても、個人名など詳細の開示を拒まれたため、彼女はさらなる上位者に支援を求めた。ある時、会長に助けを求めると、会長は、彼女の上司と人事担当に彼女の成長を支援するよう指示し、自分が彼女を高く評価していること、チームの重要な人材であるという考えを強調した。
短期的にはそれは助けになったが、同時にさらなる反発も生んだ。人事部長は、自分を飛び越えられて要請が行われたことに不満を述べた。チームメンバーは指示された通りにサポートしていたが、その姿勢は渋々であり、間接的に彼女の邪魔をし続けた。たとえば出張をキャンセルし、重要な委員会から彼女を外した。直属の上司も、会長の介入後は距離を置き、反感を抱くようになった。
この状況を調べるうちに、同僚との摩擦の要因はいくつも考えられたが、より深い問題が足元、つまり私がプロフェッショナルの「半径圏」と呼ぶものの範囲内にあることがわかった。自分の仕事を最も近くで経験する同僚やステークホルダーたちの輪である。その圏内の同僚との信頼が損なわれていた。彼女はその後、強い高業績チームを築いていたが、それ以前の印象が完全に消えたわけではなかった。身近なエコシステム内の評判が、彼女が陰で何を言われるかを決めていた。上層部との関係を活用することに意識が向いていた彼女のこの圏内での信頼不足が、チームと調和して仕事をする能力に影響を及ぼしていたのだ。







