私がコマツの社長に就任した時も最悪期だった。雇用に手をつけ、子会社の数を減らし、子会社への出向は転籍に切り替えた。この外科手術があったからこそ、その後景気が上向いた時期、国内に2工場を新設できた。アメリカ赴任時と同じようにみんなで草むしりをしていたら、この投資はなかっただろう。
企業には好調の時も、不調の時もある。体調を崩した時には、早く健康体に戻ることを考えなければならない。「雇用に手をつけるなら、まず経営者が責任を取れ」と言うのは簡単だが、最後まで我慢を続ければ会社全体が沈んでしまう。
目の前の雇用を犠牲にしたとしても、長期的に企業を成長させ、将来の雇用を増やすことのほうがはるかに重要である。それが、企業の社会的責任ではないだろうか。
坂根正弘 [Masahiro Sakane]
コマツ取締役会長。1941年生まれ。島根県出身。大阪市立大学工学部卒業後、コマツに入社。小松ドレッサーカンパニー(現コマツアメリカ)社長、常務取締役、専務取締役、取締役副社長を経て、2001年に取締役社長就任。中国をはじめとする新興国へのグローバル展開を進め、構造改革を断行し、社業のV字回復を果たす。2007年より現職。
コマツ取締役会長。1941年生まれ。島根県出身。大阪市立大学工学部卒業後、コマツに入社。小松ドレッサーカンパニー(現コマツアメリカ)社長、常務取締役、専務取締役、取締役副社長を経て、2001年に取締役社長就任。中国をはじめとする新興国へのグローバル展開を進め、構造改革を断行し、社業のV字回復を果たす。2007年より現職。
(文責・編集部)
(DHBR 2011年9月号より)