転職を繰り返す候補者を採用するメリットを理解しているか
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サマリー:採用担当者やリーダーは従来、たび重なる転職歴、いわゆる「ジョブホッピング」を危険信号と見なしてきた。そうした候補者は長く続かず、信頼性に欠けると懸念するからだ。しかし最新の研究により、ジョブホッパーは異なる組織や文化への高い適応力を備え、迅速に戦力化できることが判明した。本稿では、ヘッジファンドマネジャーの採用データに基づく調査を提示し、ジョブホッパーの真の強みとそれを活かす採用・育成戦略を解説する。

ジョブホッパーは信頼できないと決めつけていないか

 採用マネジャーやリーダーは伝統的に、たび重なる転職歴、いわゆる「ジョブホッピング」を危険信号と見なしてきた。そのような経歴を持つ候補者は、採用しても長く続かないとか、信頼できないと懸念するからだ。これまでの研究もこのような見方が存在することを裏づけている。事実か否かは別として、たび重なる転職歴は、その人(ジョブホッパー)の信頼性の低さや、職務態度の悪さを示唆するものと解釈されがちなのだ。

 だが、筆者らの研究によると、ジョブホッパーをこのように見なせば、戦略的な人材を見逃すおそれがあることがわかった。2004~2019年に転職した2129社8693人のヘッジファンドマネジャーのデータを分析したところ、頻繁に転職を繰り返してきた従業員は、馴染みのない組織に加わることや新しいシステムを学ぶこと、そして新しい文化を切り抜けることに慣れているため、新しいポジションでも迅速に戦力になることがわかった。

 早く結果を出さなくては、というプレッシャーに日常的にさらされているリーダーにとって、これは重要だ。採用マネジャーは、転職を繰り返してきた人を即座に排除するのではなく、彼らにはよく指摘されるリスクが伴う一方で、極めて重要な財産(新たな組織環境ではるかに迅速に生産性を発揮し、付加価値をもたらす能力)になりうることを認識すべきだ。

調査の概要

 本調査では、2004~2019年の米国のヘッジファンドマネジャーの採用および月次パフォーマンスを調査した。とりわけ、マネジャーが新しい組織に加わった後のファンドのパフォーマンスを分析した。

 それによると、従来調査結果と同様に、ファンドマネジャーの72%が、新しい組織に加わった直後はパフォーマンスが低下し、過去のパフォーマンス水準に回復するまで平均4カ月を要した。

 しかし、このパフォーマンスの低下は、すべてのマネジャーに一律に見られたわけではない。頻繁に(4回以上)転職をしてきたマネジャーは、1~2回しか転職経験のないマネジャーと比べて、パフォーマンスが低下する幅が小さかった。また、頻繁に転職するマネジャーは、パフォーマンスが元の水準に戻るのに要する時間も短かった。よく転職するマネジャーは、転職直後にパフォーマンスが低下した後、平均2カ月で元の水準に戻ったが、転職回数の少ないファンドマネジャーは5カ月を要した。

転職経験が最も重要になる場面

 筆者らの調査では、転職を繰り返す人の強みは、異なる職場をいくつも経験してきたことに由来する。新しい組織に加わるたびに、新しい組織文化を学び、新しい同僚との関係を築き、仕事の進め方に関する暗黙のルールを理解しなければならない。それを何度も経験することで、転職を繰り返す人たちは、特定の組織で成功する方法を学ぶだけでなく、職場が変わった時、より簡単に「仕事のコツをつかむ」汎用性の高いスキルを身につける。

 この理屈と一致するように、今回の調査でも、新しい環境への適応力が重要な役割を果たす採用事案では、頻繁に転職してきた経験のメリットが顕著であることがわかった。具体的には、3つの局面でメリットがある。

根深い職場文化がある組織

 長期にわたり一緒に仕事をしてきた人たちは、仕事の進め方について、強力かつ(多くの場合)暗黙の規範を形成していることが多い。また、その規範をきちんと読み取れない人に対する許容度が低い。こうした環境では、よりスピーディな学習能力が重要になる。転職を繰り返してきた人は、新しい文化や期待を素早く読み取ってきた経験があり、こうした環境でとりわけ貴重な存在になる。