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「AIエージェントの管理」という業務の増加
テクノロジー分野の提携について政府機関に助言を行うコンサルタントのベンジャミンは、スケジュール管理を担うAIエージェントを利用し始めた。自分の時間を取り戻せると期待してのことだった。
彼は筆者らに対し、AIエージェントを使えば、無駄な予定や重複のない整理されたカレンダーが手に入り、仕事をたびたび中断させられることもなくなり、会議の日程調整という魂をすり減らすようなやり取りから解放されると思い描いていたと語った。だが実際には、新たな仕事──スケジュール管理のために導入したエージェントを、みずからが管理するという業務──が増えただけだった。
AIエージェントの仕事ぶりは迅速で迷いがなく、ベンジャミンの会議の予定をほんの数秒で設定したが、カレンダーの裏側にある、目に見えない事情までは把握していなかった。たとえば、ある顧客との会議を、その会議の準備のためにベンジャミンが毎週確保している2時間の枠に入れてしまった。その時間枠に予定を入れてはならないということはカレンダーには記されておらず、ベンジャミンだけが知っていた。
市内の離れた場所で行われる2つの会議を、移動時間を考慮せずに立て続けに入れたこともあった。AIエージェントには、2つの地点がどれほど離れているかわからなかったのだ。新入社員との短時間の打ち合わせを設定する際に、同席するつもりだったその上司を招待しなかったり、政府機関の上級職員に「15分ほど時間をいただけませんか」と打診する際に、大学時代の友人に向けたようなファーストネームの気軽な調子で連絡したりもした。相手との関係性次第でより細やかな配慮が必要なケースがあるということを、誰もAIエージェントに教えていなかったのである。
AIエージェントがそれぞれの会議を設定するのに要した時間はわずか数秒だったが、ベンジャミンはその後始末に、はるかに長い時間を取られることになった。会議の準備のための時間枠を手作業で入れ直し、上司に電話をかけて手違いを説明し、市内の離れた場所で重なってしまった会議の予定を調整し、政府機関の上級職員に謝罪した。
生産性のパラドックス
私たちは10年以上にわたって、デジタル技術がもたらす「隠れた負担」について研究してきた。具体的には、過度な共同作業である「コラボレーション・オーバーロード」や、複数のアプリケーション間を行き来することで生じる「切り替えのコスト」、そしてデジタルツールが私たちの認知的・感情的なリソースを分断することによる「デジタル疲労」などだ。AIはこうした負担の一部を軽減してくれるものと期待されていた。しかし実際には、私たちが調査した100以上の組織の多くにおいて、かえって事態を悪化させている。先に挙げたベンジャミンの1週間の業務状況は、私たちが同僚とともにグリーンのワーク・AI・インスティチュートによる「ワーク・AI・インデックス調査」で明らかになった、より大きな傾向を示す一例にすぎない。
この調査の一環として、研究チームは米国、英国、オーストラリアのフルタイム労働者6000人を対象としてアンケートを実施した。対象者は、業務の大半をコンピュータやデジタルツールを使って行う人たちだ。ソフトウェアエンジニア、金融アナリスト、プロダクトマーケターといった「デジタルワーカー」の75%が、AIの活用によって生産性が向上したと回答しており、AIは週平均11時間分の業務を自動化していた。しかし、AIによって組織の業績が大幅に向上したと回答したのは、わずか13%に留まった。
筆者らは、このギャップを生む大きな要因の一つを、「ボットシッティング」(AIの世話)と呼んでいる。AIを実際に役立つ状態にするために人間が担う、目に見えず、記録も評価もされない業務である。
労働者はボットシッティングに週平均6.4時間を費やしている。これは、ほぼ1日分の労働時間に当たる。しかも、AIに費やす時間全体の37%をボットシッティングが占めている。これは、AIを使って実際に仕事をする時間の36%をわずかながら上回る。
ボットシッティングは単一の作業ではなく、複数のタスクの集まりだ。AIに文脈を与える作業(週2.3時間)、AIの誤りや偏り、予期せぬ挙動を特定・修正する作業(週2.2時間)、AIの出力を利用する前に、意図した通りの内容になっているかを確認する作業(週1.7時間)などである。







