「不確かな結末に対して前もって抱く我々の確信だけが、その結末を真実化させる唯一のものなのだ」

──ウィリアム・ジェイムズ

 1976年8月、『DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー』(DHBR)は創刊した。当時の日本経済は、長らく続いた高度経済成長が第1次オイルショックを経て収束し、新たな局面を迎えていた。大量生産・大量消費を前提とした経営も踊り場に差しかかり、企業は成長の鈍化や国際競争の激化という現実の中で、新たな経営のあり方を模索していた。そうした時代に、世界最先端の経営コンセプトを日本のビジネスリーダーへ届ける知の架け橋として、DHBRは産声を上げたのである。

 それからの半世紀、経営を取り巻く景色は時代とともに移り変わってきた。1980年代には日本企業が世界市場で存在感を高め、製造業を中心に品質や生産性を競うグローバル競争が本格化した。企業は、自社の競争優位をいかに築くかを戦略的に考える時代へと突入する。1990年代にはPCとインターネットが急速に普及し、情報革命はビジネスモデルそのものを書き換えた。知識経営、イノベーション、組織学習といったテーマが経営の中心へ躍り出たのもこの頃である。2000年代にはグローバル化が一段と進展し、サプライチェーンは世界へと広がり、新興国企業が存在感を増した。2010年代にはスマートフォンとソーシャルメディアが社会のコミュニケーション構造を根底から変え、シリコンバレーのビッグテックをはじめとする巨大プラットフォーマーが世界経済のルールメーカーとなった。そして2020年代。生成AIをはじめとする新たなテクノロジーは、私たちの業務プロセスや組織、意思決定のあり方そのものを急速に変えつつある。ビジネス環境はいまこの瞬間も、かつてない速度で変化し続けている。