インドのような多様性のある市場を理解しようとするならば、何度も自分で足を運ぶことである。市場を理解する、ということは実際に経験すると言い換えることもできるのだ。
先週、私はインドを訪問してきた。とても広大で多様性あふれるインドは、今回もいくつかの新しい発見を私にもたらしてくれた。特に国のインフラが、あらゆることに影響するという点を再認識した。たとえばインドの病院は、外観上は西欧社会で見かけるような現代的な施設だが、電源が徐々に落ちて停電してしまうことがある。
また、かつてウィンストン・チャーチルが述べた「インドは1つの地理的な概念である(訳注:1つの国ではない)」ということを肌で実感した。今回はインド国内の、ある2つの州を初めて訪問したのだが、その文化、食事、方言が独自のものであることがすぐにわかった。さらに鮮烈なのは、都市と農村との格差である(ただし、農村部の学校で会った子供たちの笑い声は、世界各地の子供たちと同じだった)。
インドとは10億を超える人波がひしめいている場所だ、という印象があるかもしれない。だがひとたび都市を離れれば、起伏にとんだ人影まばらな土地が広がっている。交通・輸送手段は実にさまざまで、トラックもあれば荷物を運ぶラクダもいる。