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新規事業とコア事業のバランスを取る
2008年秋、ロンドンに本拠を置くソフトウエア会社マイシスのCEOマイク・ローリーは、世界的な経済危機を乗り越えるための事業計画を準備するよう、経営幹部たちに要請した。それに答えて、提案事項の最初に挙げられていたのは、ヘルス・ケア業界における有望な破壊的技術の開発を目的としたベンチャー企業、マイシス・オープン・ソース・ソリューションへの年間300万ドルの投資を中止することだった。
このようなことは珍しい話ではない。多くの経営幹部は、新規事業や市場を開拓する必要を認識しているにもかかわらず、とりわけ経営が困難な時代には、コア事業からの差し迫った要望にほとんど屈するのである。
マイシス・オープン・ソースのようなイノベーション事業が資本の分け前にあずかろうとすれば、苦しい闘いが待っている。それらの新事業には規模も経営資源もないばかりか、経営トップの間で過小評価されることがほとんどだ。運がよくても、既存事業のリーダーたちはこのような新規プロジェクトを無視する。最悪の場合、自社のコアとなるアイデンティティや価値観への脅威と見なす。