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虫の目と鳥の目で世界を見る
2010年4月、メキシコ湾にあるBPの石油プラットフォームが爆発して11人が死亡し、アメリカ史上最大の原油流出事故が起きた。この時、当時のCEOトニー・ヘイワードがズーム・インした対象は、自分のキャリアに関することだった。その事故がBPの経営陣、とりわけ自分にどう影響するのかをいちばん気にしたようだ。
事故から約1週間後、ヘイワードはBPロンドン本社の幹部らに「いったい、何で我々がこんな目に遭わなくちゃならないんだ」と漏らしたという。広報コーチングのかいなく、それから1カ月後、彼は記者らに「自分の生活を取り戻したい」と語った。
同年7月、結局、ヘイワードは辞任に追い込まれたが、メキシコ湾岸地域での甚大な人的被害や人々の不安など、もっと大きな視野で問題をとらえるチャンスは多々あったはずだ。BPは原油の流出を封じ込めるために膨大な数の技術者を動員したにもかかわらず、世間の目には、彼が大局を見ることができず、危機的な状況を自分に降りかかった災難としか考えていないように映った。