この問題を解決するためには、カスタマー・アドボカシー・プログラムのための「アプリ」を交換する場が必要となる。ほとんどの企業はいまだに優れたプログラムを構築できていないが、なかには過去10年ほどのあいだに、それを成し遂げた企業がある。セールスフォース・ドットコムやインテル、P&G、インテュイット、マイクロソフト、USAAなどだ。これらの企業の実績や、そこから学べる教訓は、アドボカシー・アプリ開発のモデルとなるだろう。また、これらの企業に何年もサービスを提供してきたアドボカシー関連業者も、フェイスブック用のアドボカシー・アプリ市場の発展に寄与できる。
以下に、フェイスブック用アドボカシー・アプリとして考えられるものを示そう。これらは机上のものではない。先に挙げた企業や業者によって、すでに実施されているものだ。
●顧客コミュニティの構築
セールスフォース・ドットコムのマーク・ベニオフは創業初期から、フェイスブックは人々が――自社の既存顧客や潜在顧客も含めて――望むオンラインでのコミュニケーション方法が具現化されたものであると気づいていた。そこで、〈Chatter〉(チャター)というフェイスブックに似たプラットフォームを構築した。機能はさまざまあるが、チャターは顧客コミュニティ構築のツールとして優れた力を発揮している。たとえば、同社の年次ユーザー会議「ドリームフォース」の開催前や期間中に、参加者や従業員がチャターを利用して連絡をとったり、つながりを築いたり、個人的なグループをつくったりしている。これにより、ドリームフォースへの参加は劇的に増えた。この種の会議に参加する顧客が全般的に減っていた時期だったにもかかわらず、チャターのプラットフォームを導入した2009年以降、ドリームフォースへの参加者は年間40%のペースで増えていった。同社は参加者の増加を、全面的にチャターのおかげであるとしている。
●顧客コンテンツの自動作成
これは爆発的に成長している分野であり、それにはいくつか理由がある。企業は顧客の体験を知りたいと望んでいるが、ケーススタディや顧客の成功体験談を従来の方法で作成しようとすると、時間やコストがかかりすぎる。作成したとしても、社内で承認を得るまでにまた長い時間がかかる。そこで、こうしたハードルをすべてなくすために、顧客体験に関するコンテンツを自動作成する企業が増えている。IBMやSAP、日立データシステムズ、デル、ヒューレット・パッカードなどである。これらの企業はターゲットをしぼったアンケート調査を行い、結果を集計するだけでなく顧客による推薦、ブログへの投稿、顧客の成功体験などさまざまなマーケティング関連コンテンツを自動生成するソフトウエアを用いる。このソフトは広範なマーケット・データ――独立した第三者機関によって承認されたもの――さえも作成できる。たとえば、「調査対象企業の86%が、このプラットフォームを導入したことで業績を10~25%伸ばした(他の戦略システムを以前の環境において使用していた頃と比較した場合)」というようなデータである。