顧客に対する価値創造を拡大する
顧客体験の向上に努めるのは素晴らしいことだ。だが、企業はそれをやり過ぎてしまうことが多い。顧客に価値を創造する新たな方法を模索することは、当然良いことだ。しかし、製品やサービスを通してのみそれを行うのは次元が低い。製品やサービスそのものがどんなに優れていても、どれだけ顧客の業務に貢献し、どれだけ楽しい体験を提供しても、顧客の人生において決定的に重要となるわけではない。それが厳しい現実だ。
したがって、顧客に提供する価値を、より高次元で豊かなものにするべきなのだ。たとえば、SASカナダはチャンピオン顧客に、顧客コミュニティにおけるリーダー的なポジションを提供する。そうすることで、彼らの職業上のネットワーク拡大とレピュテーションの確立に寄与することができる。セールスフォース・ドットコムは、大規模な年次イベント「ドリームフォース」でMVP顧客に最前列の席を与えたり、常に最新の業界情報を提供したりしている。ケイティの例でいえば、彼女に講演やオンラインセミナーで話す機会を提供してプロフェッショナルとしての知名度を高める後押しをしたり、他のブロガーが得られない「内部」情報を提供して、ブログへの訪問者数増加に力を貸したりできる。企業側も、単に相手の業務上のニーズを満たすだけであるよりも、深い満足感を得られる。顧客のソーシャル・キャピタル(社会関係資本)の構築に貢献し、顧客の人生を向上させているからだ。P&Gやレゴ、日立データシステムズなどの先端企業も、同様の活動に取り組んでいる。
あなたの企業のデータは、こうした機会を見出しているだろうか。どの顧客がウェブ上で影響力を持っているかを示しているだろうか。あなたの企業にとって魅力的なネットワークは、どの顧客に注目し、尊敬しているのだろうか。ネットワーク内で存在感を高めたいと思っている顧客や、成功体験談(あなたの企業の製品やサービスが貢献した体験)を語れる顧客は、データから見えてくるだろうか。
進むべき道をビッグデータによって見失うことがないように、顧客に秘められた価値を見出すことに集中しよう。
原文:The Big Goal Behind All that Customer Data September 10, 2012