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「共通価値」(shared values)という概念は、経済的価値を創出しながら、社会的ニーズに対応することで社会的価値も創出するというアプローチであり、成長の次なる推進力となるだろう。GE、IBM、グーグル、インテル、ジョンソン・エンド・ジョンソン、ネスレ、ユニリーバ、ウォルマートなどは、すでに共通価値の創造に取り組んでいるが、まだ端緒についたばかりである。共通価値がもたらすチャンスを見極める方法は、「製品と市場を見直す」「バリューチェーンの生産性を再定義する」「事業を営む地域に産業クラスターを開発する」の3つである。これまでの資本主義の考え方は、「企業の利益と公共の利益はトレード・オフである」「低コストを追求することが利益の最大化につながる」といったものであり、依然支配的である。しかし、もはや正しいとはいえず、また賢明とは言いがたい。共通価値の創造に取り組むことで、新しい資本主義が生まれてくる。
「共通価値」とは何か
資本主義は危機に瀕している──。
近年、「企業の事業活動こそ、社会問題、環境問題、経済問題の元凶である」と前にも増して考えられている。また、「企業は地域社会の犠牲の下に繁栄している」と広く認識されてもいる。さらに困ったことに、企業がこれまで以上の責任を背負うと、「社会がうまく機能していないのは企業のせいである」といっそう非難される。