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新たな技術の前に
悪あがきは通用しない
優れた新技術が遠く水平線の彼方に姿を現しつつあり、これまで築いてきた事業が脅威にさらされている。さて、あなたならどうするか。何も考えずに世間の習慣に従い、その新技術によどみなく移っていけるよう力を尽くすのだろうか──。あまりにも多くの企業は、移行に必要な力を実際には持ち合わせていないとみずから認めることができない。それゆえに、大敗を喫す。
当然ながら、うちは移行できない、もしくは移行すべきでないと判断を下す企業もある。その理由はおそらく、必要とされる技量や経済的資源が不足しているとか、新技術が実はそれほど優れていないため勝ち目があると結論づけた、などといったところだろう。こうした企業は、従来の技術を改良しようといっそう励む。そしてたいていは性能アップに成功する。
たとえば、電動式タイプライターのメーカーはワード・プロセッサーの台頭に対して、スペル・チェックや1行丸ごとの消去機能、複数のフォント選択機能など、目覚ましい性能を発揮する量販製品を生み出した。写真フィルム・メーカーはデジタル・カメラの出現に対して、世界的な新規格、アドバンスト・フォト・システム(APS)を開発した。カートリッジ・ベースの新方式により画質向上を実現したほか、現像サイズが複数の種類のなかから選べる機能や、撮影写真を1枚に並べて現像できるインデックス・プリントといった機能も新たに搭載した。