世界はボーダレスでフラットな状態とは程遠い――そう強調するゲマワットは、人々の意識においても同様であることを示す。他国への関心は距離に応じて低くなるという現実があり、2国間の信頼が強くなれば経済効果も高まるという。
あなたは自国の国境の向こう側にある世界のことを、本当のところ、どの程度理解しているだろうか。すべての人間を平等に評価しているだろうか。それとも、より身近で、自分と似た人々に対して強い共感をもつだろうか。そのことはあなたのビジネスや社会に、どのような影響を与えているだろうか。
私の前回の投稿 を読まれた方のうち数人から、グローバル化に対する人々のマインドセットや認識は、実際のグローバル化のレベルと同じくらい重要となりうるとのコメントをいただいた。私も同感である。マインドセットは重要であり、現実世界の出来事に大きく影響する。ヨーロッパの債務危機と救済措置を見ればわかるが、全体的な繁栄は、国境と距離を越えて協力、信頼、そして共感が広がるかどうかに左右されるのだ。
以下のデータは、西欧諸国で実施された調査に基づいた、信頼度に関するものである。下のグラフが示すように、「自国民を強く信頼する」と答えた西欧人の数は、「自国以外の西欧人を強く信頼する」と答えた人の2倍以上であった(48%対20%)。そして西欧以外の国の国民に対して強い信頼をおく人は、たった13%であった。
より体系的な研究からは、次の点で2国間に隔たりがあると、信頼関係が弱くなることが示されている――地理的、言語的、宗教的、遺伝子的、身体的(体型の差異を表す指標により測定)な隔たりである。加えて、収入の差異と、戦争の歴史も同様の結果をもたらす。これらは、私が提唱するCAGEの枠組み――Cultural(文化的隔たり)、Administrative(制度的隔たり)、Geographic(地理的隔たり)、Economic(経済的隔たり)の4つの側面すべてに触れる結果であり、特に文化的隔たりが強調されている。そして信頼のレベルが影響を及ぼすのは、誰を支援するか(たとえばギリシャへの救済融資)ということだけではない。2国間の信頼が低いレベルから高いレベルへと変化することによって、貿易、直接投資、ポートフォリオ投資、ベンチャーキャピタル投資が、100%以上増大することが明らかになっている(両国のその他の特徴を調整した後でも)。