改革その5:代理店とクライアントは、「本物らしさ」をより重視すべきである。

 昨年、フォルクスワーゲンはスーパーボウルで放映するティーザー広告として、スターウォーズのテーマ曲を犬の吠える声で奏でる「バークサイド」という作品を制作した。製品情報が一切含まれていないこの動画は、2週間で1400万回再生された。製品をメインに据えた広告は、いまでもニーズや枠が残されている。特に新しい製品を市場に導入する場合などだ。しかし、ブランドが人々に愛されることを望むなら、売り込みすぎてはいけない。私たちの競争相手はインターネットだ。共有されやすいコンテンツを目指すならば、できる限り本物らしさと信憑性を持たせ、商売っ気を抑えるべきである。

改革その6:デジタル教育を行う。

 クライアントやパートナーに、より革新的な取り組みをより早く理解してもらうために、これに勝る方策はない。アイデアのプレゼンテーションを行う前に、デジタルの可能性を示し、どれほど素晴らしいかを実際に見てもらい、イノベーションを評価する適切な手段を与えるべきだ。弊社は、すべてのクライアントに対して「Dスクール」と呼ばれるセッションを行っているが、これは彼らの意識を変えるうえで非常に効果的だ。最近行われたセッションの後、あるクライアントが言った――「あなた方のビジネスを売り込む、最高のプレゼンでしたよ」。そういう効果もあるということだ。

改革その7:制作のあらゆる段階で、より迅速に行動する方法を見つける。

 今日のマーケティングには、大規模な制作やイベントが適しているタイミングや空間もある。しかし、私たちはより速く失敗し、小さなコンテンツを矢継ぎ早につくっていくことに長じる必要がある。スーパーボウルにおけるオレオの事例(「スーパーボウルで明らかになったリアルタイム広告の威力」を参照)は、リアルタイムの俊敏なマーケティングがブランドにどう貢献するかを示す好例である。しかしほとんどの代理店は、ソーシャルメディア以外の領域ではそうした手法が可能となる態勢を整えていない。

 最後に、これらの改革を進める過程で、自身の仕事がマーケティング事業であることを忘れてはならない。ストーリーや創造性を犠牲にしてデジタル化するのでは本末転倒だ。 両方ともに重要なのだ。私の経験から言えば、素晴らしいことが起きるのは、右脳思考と左脳思考の溝を埋めることに成功した時である。相反する両者は激しい対立と混沌を生むかもしれない。だが、それが創造性というものだ。そして、私は広告やマーケティングに携わる人々には、素晴らしいストーリーを語るだけでなく、永続的に発明を行う力があると信じている。私たちの業界の未来は、その両方で成功できるかどうかにかかっているのではないだろうか。


HBR.ORG原文:Advertisers Must Be Inventors February 20, 2013
 

ウィンストン・ビンチ(Winston Binch)
Duetsch LA(ドイチ ロサンゼルス支社)のパートナー兼最高デジタル責任者。デジタルに関する戦略、ビジョン、オペレーション、事業開発、発明を統括する。グーグルのクリエイティブ評議会のメンバー。コロラド大学のボルダー・デジタルワークスの創設者。