改革その2:ごく少数の技術者を雇うだけで満足してはならない。

 また、何もかもアウトソーシングに頼ってもいけない。もし本気なら、自分たちの力で物事を進めていく必要がある。これは簡単なプロセスではない。アクシデントは付きものだし、長い時間を要する。だが、投資すればそのリターンは大きいだろう。

 技術者には創造力がある。彼らは制作プロセスを通じて仕事を改善するだけではなく、アイデアを思いつき、それを洗練させていく。社内に技術チームを擁することで、迅速に動けるようになり、アイデアをプロトタイプによって素早く試すことが可能となる。納期が短いことで悪名高い広告業において、これは重要なことである。今年、弊社(Deutsch LA)のフォルクスワーゲン担当チームはスーパーボウルのキャンペーンで、getingethappy.comというソーシャル体験と、付随するデジタルメディアのキャンペーンを、3週間でゼロからつくり上げた。外部のパートナーに開発を任せていたら、とても不可能だっただろう。

改革その3:ブランドと代理店は、実験に対してオープンになる必要がある。

 俊敏なベンチャー企業に対抗するならば、この改革が必要だ。広告業界では、実験が評価されることがあまりにも少ない。クライアントに働きかけて実験に当てる予算枠を獲得し、目標と成功条件を明確に設定しよう。最初は小さく始める。デジタルの良いところは、少ない投資で多くのことができることだ。

 弊社のクライアント、ポップ・シークレット(ポップコーン菓子ブランド)には、テレビ広告を打つほど潤沢な予算がない。そこで私たちは、新しいアプローチを考えた。有償メディアに資金の大半をつぎ込む代わりに、このブランドが自宅での映画鑑賞という大衆文化に結びつくように設計された、10個の手軽なデジタル実験を行うことにした。このキャンペーンは2カ月前に始まり、公開した実験はまだ2つのみだが、すでに3億2千2百万ドル分のインプレッションを獲得し、ネット上でのこのブランドへの言及の10%は映画と結びついている。キャンペーン前、この数字は1%だった。さらに、1月には12カ月間のオーガニック検索で最高値を達成した。小さくとも、PR価値のある、実験的なツールやコンテンツの力が明らかになったのだ。

改革その4:クリエイティブ部門を破壊せよ。

 文字通りの意味だ。壁を取り払い、協業できるように空間をつくり、新しいアイデアを持った人たちを取り込むのだ。「クリエイティブな、はみ出し者」の文化を築こう。時として、広告業界の「クリエイティブ」という言葉は狭義に過ぎる。先に述べたとおり、技術者もインターネット担当者も、クリエイティブである。コピーライターやアートディレクターだけでなく、アイデアを持ったあらゆるタイプの人に居場所をつくるべきだ。

 昨年、弊社はインベンション・ストラテジーという新たな創造的取り組みを始めた。ここではプロトタイプをつくり、戦略を考え、アイデアを生む人々を「インベンショニスト」と呼んでいる。これはまだ開発途上の取り組みだが、1年もしないうちに、この小チームは私たちのクリエイティブチームの中でも優秀な実績を上げている。彼らは、弊社が優れたデジタルコンテンツをクライアントに提供する助けとなり、フォルクスワーゲンやターゲットといった大手ブランドとの仕事で力を発揮している。クリエイティブ部門にネットオタクや発明家の居場所をつくろう。そうしなければ、彼らはグーグルやフェイスブックに奪われてしまう。