意外な国でポテンシャルを秘めた企業が生まれている

 20世紀の起業家の物語といえば、舞台は先進国市場に限られ、そこでいかに個人が先見の明ある資本を利用してスケールの大きいビジネスを生み出したかというものだった。AT&Tやホーム・デポ、マイクロソフトが、あっという間に「フォーチュン500」に名を連ねるまでに成長したのも、この筋書きだった。しかし21世紀の世界では、これとはまったく異なる物語が展開している。

 いまや起業家は、世界のどこにいても、比較的少ない元手で価値を生み出すことができる。多くの産業で参入障壁が崩壊しつつあり、小規模な企業の前にも巨大なチャンスが広がっている。こうした変化は、特に新興国市場で明らかである。新興国市場ではいま、起業家が主導する経済が花開こうとしているのだ。

 我々が2年をかけて中東、アフリカ、南アジアの起業家の活動を調査した結果、こうした地域には、ポテンシャルを秘めた急成長の、世界に通用するベンチャー企業が何百社も存在することがわかった。