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営業を甘く見る起業家たち
起業家の創業プロセスとは総じて、画期的な新製品や新サービスのアイデアがパッとひらめいた瞬間から始まるものである。しかし大多数の起業家は、自分のアイデアに舞い上がり、見込み客が見ればおのずとそのメリットは明らかだと思い込んでしまう。つまり、素晴らしいイノベーションであることは一目瞭然だから、黙っていても勝手に売れるはずだ、と決めつけてしまうのだ。
たとえ、こうした幻想に飲まれなかったとしても、創業当初の売上げを「鶏が先か、卵が先か」と同じようにとらえかねない。すなわち、見込み客を買う気にさせることが先決とわかっていながら、製品の設計と製作(それには資金の確保やチームづくりなど、さまざまな作業が必要になることが多い)が済まなければ売り込みようがないと考えてしまうのである。
いずれの場合も「あらゆるスタートアップ企業の成功のカギは販売技術にある」という単純な事実認識を欠いている。この点を無視する起業家は、みずからを危険にさらしていることになる。それでもなお、これを無視する向きが多い。それは、起業家にはほとんど営業経験がなく、体系立った経営教育を受けていたとしても、おそらく、販売技術の授業は受けなかったことが主な原因である(これについては、スザンヌ・フォーゲルらが説明している[注])。