また同社では2010年9月に、女性幹部のための第1回サミットを開催。女性リーダーに対する同社のコミットメントを表すもので、幹部候補の女性従業員も多数参加する。チーフ・ダイバーシティ・オフィサーのケリー・ペライノはこう述べている。「女性のシニア・マネジャーが仲間や支援者からの応援によって、その能力をさらに発揮できるよう我々は期待しています」。ケン・シュノールトと上級幹部らも参加する予定で、スポンサーの効果を高めようとしている。
監査法人デロイト・トウシュ・トーマツは、将来有望な女性従業員を育てるために2つのアプローチを用いている。1つはシモンズ・スクール・オブ・マネジメントと共同で考案された「リーディング・エッジ」という5日間のプログラムだ。パートナー、プリンシパル、ディレクターの職にある女性たちが、リーダーシップ能力に関する深い見識、関係構築スキルを強化する方法、職業上の人脈を拡大する方法を学ぶ。もう1つは「リーディング・トゥ・ウィン」で、有望な女性をリーダー職へといざなう18カ月の研修プログラムである。参加者は1対1のコーチングに加え、幹部会議に出席して経営陣や潜在的スポンサーに直に接する機会を得られる。
シティグループとシスコも、有能な女性従業員にスポットライトを当てる試みを行っている。シティがUCLAアンダーソン・スクール・オブ・マネジメントの協力を得て立ち上げた「シティ女性リーダーシップ開発プログラム」では、シニア・マネジャー候補の女性を集め、戦略的ネットワークの構築法や、戦略的にリーダーシップを発揮し影響を及ぼすためのコミュニケーション法といった、リーダーに必須となるスキルを教える。参加者の約20%を、昇進したばかりの女性が占める。
シスコは2008年11月に、「包括的支援プログラム」を立ち上げた。男女を問わずあらゆる有望人材を、「擁護者 」――別の部門や地域の副社長または上級副社長――と9カ月にわたりペアにする。これにより、擁護者は新たな知識資本のネットワークを、従業員は影響力を持つコネクションとのネットワークを広げることができる。厳しい経済状況にもかかわらず、ある参加者は1年たらずで昇進し、別の参加者は新たなポストを得て別の地域に赴任した。
こうしたプログラムの考案者は、すべての縁組みが成功するわけではないとわかっている。彼らが意図しているのは長期的な成功だ。アメリカン・エキスプレスのペライノはこう述べる。「我々は、スポンサーシップの必要性を理解しています。それを実現するために、我々がやっているのは“種を蒔く”ことなのです」
あなたの会社は、社員とスポンサーを戦略的に引き合わせるために何をしているだろう? どうすれば女性は、トップに上り詰めるために必要な戦略的コネクションと認知を得ることができるのだろう? 皆さんのコメントをぜひお聞きしたい。
(原注:本記事はブーズ・アンド・カンパニーの上級副社長、ディアン・アギールとの共著。アギールは組織と人材の有効性、および変革のためのリーダーシップに関する専門家。アギールとヒューレットは「グローバル・タレント・イノベーション」を共同で推進している。)
HBR.ORG原文:When Female Networks Aren't Enough May 12, 2010

シルビア・アン・ヒューレット(Sylvia Ann Hewlett)
非営利の研究機関、センター・フォー・ワークライフ・ポリシーの創設者、所長兼エコノミスト。