子どもを持たない男性社員は、職場で不満や疎外感を抱いている――こんな調査結果が明らかとなった。その感情は、不公平感に起因しているという。企業は従業員の「家庭」だけではなく、「生活」に焦点を当ててワーク・ライフ・バランスを支援すべきである。
かつてのマミー・ウォーズ(働く母と家で育児に専念する母の間で繰り広げられた論争)のように、2010年代にはダディー・ウォーズが勃発するのだろうか?
私は以前に、成功している女性がキャリアと育児の両立に苦労する背景を研究し、2002年に1冊の本にまとめた。その時のデータによれば、専門職に就いている女性のほぼ40%が、40歳の時点で子どもを持っていなかった。多くの職場で、家庭を重視する施策が増えていたにもかかわらず、この数字は変化していなかった。
しかし現在では、ますます多くの男性も同じ状況に直面しており、その数は増える一方である。センター・フォー・ワーク・ライフ・ポリシーの最近の調査によれば、専門職にある40歳の男性の31%に子どもがいない。
何が起きているのだろうか。失業や貧困に直面している男性ならば、家族を養うのが難しいため、子を持たないという選択はやむをえない。だが、安定した仕事に就き、「マンセッション」(不況期に男性の失業が女性よりも深刻になる状況)とも無縁な高給取りの男性の場合はどうだろう? あえて子を持たない選択をしているのだろうか。それとも、労働時間と責任の増加、そして不況がもたらす不安に煽られ、そうせざるを得なくなっているのだろうか。
調査結果から、企業と組織が憂慮すべき具体的な懸念が浮かび上がっている。子を持つ社員に対する支援は、正しいこととされている。しかし匿名を保証した調査からは、こうした建前の裏にある本音――雇用者と、子を持つ同僚への強い憤り――が明らかになった。
●子を持たない男性は、子を持つ同僚が職場で特別扱いされていると感じている。子を持たない専門職の男性の43%は、「子を持つ同僚は自由裁量の余地を多く与えられている」と回答し、37%は「私自身のわが社への貢献は、子を持つ同僚に比べると重視されていない」と回答した。
●子を持たない専門職の男性は、「自分の私生活について、同僚は偏見の目で見ている」と考える傾向が、子を持つ男性より60%も高い。
●子を持たない専門職の男性は、子を持つ男性に比べると、同僚から社交的なイベントに誘われる頻度が少ない。
これらの結果は、雇用者にとっては憂慮すべきものだ。子を持たない従業員が不満と疎外感を抱き、子を持つ同僚ほど尊重されていないと感じているとしたら、彼らの労働意欲を高く保つのは簡単ではない。雇用者は、どうすればダディー・ウォーズを防げるのか。あるいは、せめて「持つ者」と「持たざる者」の間にただよう怒りの感情を和らげる方法はあるだろうか?