ダイエットが続かない。雑事に追われるうちに日々が過ぎてしまう……。意志力や自制心をもって取り組み始めても、たいがいが挫折してしまう。大切なことに集中するには、環境を変えなければならない。そのためには3つの方法がある。
「僕が思うに」――私は友人のジョーリーに言った。彼はこの半年で35キロも体重を落としていた。「痩せられるかどうかは、不愉快な状態に耐えようとする意志にかかっているよね。多少おなかが空いても、食べたい誘惑に抗えるかどうかが問題だ」
ところが、「それは違うよ」と彼は答えた。「僕の空腹がどんなものか知らないだろ。本当につらいんだ。1週間かそこらなら我慢できるかもしれないが、長くは無理だ」
私はすぐにジョーリーの言うことが正しいと気づいた。訓練や自制心、意志力は、長期的に持続させることができないものだ。誰もが結局は挫折する。
私もいろんな方法で減量を試みたことがある。効果があったのは次の2つだけだった。(1)精製糖を含む食品の排除――アイスクリーム、キャンディー、クッキー、ケーキなどをすべて台所から追放し、代わりに健康的な食品をストックした。(2)「ザ・フレッシュ・ダイエット」の活用――契約した1カ月間、毎朝その日1日分の食事と軽食が配達される。おいしくて満足できるものだった。この期間に私は、配達されたもの以外は口にしなかった。
どちらの場合も自制心に頼る必要はなかった。身の回りの環境を変えることで、長期的に続けられるようになったのである。
「それじゃ、君はどうやって痩せたの?」とジョーリーに聞いてみた。
ジョーリーは、胃の上部をバンドで縛るラップバンド手術を受けていた。食べると胃の上部がすぐにいっぱいになり、満腹感を感じる。食べたものは胃の下部へ少しずつ落ちていくため、満腹感は持続する。
言い換えれば、ジョーリーは空腹に耐えることによってではなく、空腹からくる不快感を排除することによって痩せたのだ。手術によって、望んでいた「食べる量を減らす」という行動を可能にしただけでなく、不可欠にしたともいえる。
「いつラップバンドを取り外すつもり?」と聞いてみると、「外さないよ」と彼は言う。
ラップバンドをきつく締めたり緩めたりすることによって、食事の量を調整できるという。休暇中などに思いきり食べたい時には、緩める患者もいる。
ラップバンドを何年もきつく締めていれば、小食の習慣が身につき、緩めてもたくさん食べることはないだろうと思われるかもしれない。
だが、それは違う。ジョーリーの医師によれば、いったんバンドを緩めると、患者は1カ月足らずで10キロ近く太ってしまうという。
新しい習慣を身につけるのは素晴らしいことだ。しかし、もしその習慣やそれによってもたらされる変化を持続させたいのなら、環境そのものを変えて維持する必要がある。リバウンドを避けたければ、砂糖菓子を再開してはいけないし、ラップバンドを緩めてはいけない。決められた以上の量を食べてもいけない。