カンヌでCMO向けプログラムを初開催
川名:さらに今年は、初めてCMO向けのイベント「CMOアクセラレータ・プログラム」も開催されましたね?

(かわな・あまね)
株式会社博報堂エンゲージメントプロデュ―ス局長。1985年博報堂入社。以来20年間、マーケティングセクションにて、様々な業種の広告主に向けた新商品開発、広告戦略立案、ブランド戦略構築等に関わる。2006年i-事業推進室を経て、2010年より現職。デジタル基点の統合マーケティングを担当。駿河台大学メディア情報学部客員教授、日本マーケティング学会員。共著に『「自分ごと」だと人は動く』(ダイヤモンド社)、解説に『本当のブランド理念について語ろう』(阪急コミュニケーションズ)がある。「本当のブランド理念について語ろう」出版記念時、ジム・ステンゲル氏インタビュー(博報堂consulactionより)
ステンゲル:ええ、13カ国から27人のCMOやシニアマーケッターが参加し、とてもイノベーティブな時間を持つことができました。新興国からも来ていただきましたし、参加者は多業種にわたるようにしました。
川名:約2日半のプログラムですが、どのような内容なのですか?
ステンゲル:初日のイントロダクションで「あなたは歴史の一部です」と伝え、27人にそれぞれ自己紹介してもらいました。このとき「希望」をひとことで言ってもらい、そして、「今、どうしても解決したい問題は何か」ということを話し合ったのです。ブランドの目的をどう見出すのか、360度のコミュニケーションをこの複雑な世の中でどう率いていくのかというのは、難しい問題です。そしてマーケティングの効果について、マーケットシェア社CEOのウェス・ニコルズに話をしてもらいました。
ビッグデータ時代に求められるこれまでと違う働き方、コーポレートブランドと製品ブランドとの役割の違い、グローバルとローカルの役割の違いなど、いろいろと質問が挙がりました。その中で、ひとつ選んで検討していこうということになりました。
2日目の朝は、まずイギリスのガーディアン社がカンヌの1週間をまとめたビデオを見ました。それからマイクロソフトやワンダーマンといった会社が参加するパネルディスカッションで、ビッグデータとテクノロジーが今後CMOの役割をどう形成していくのかという、非常に実践的なテーマをとりあげました。午後は、モバイルマーケティング、コカ・コーラのCMOからの話、コンサルティング会社のエフェクティブブランズによる未来洞察に関する調査結果といったプログラムが組まれました。その日の最後は「ビハインド・ザ・シーンズ」と題した内容です。ここでは、近年の「クリエイティブ・イフェクティブネス部門」や「チタニウム&インテグレーテッド部門」を受賞したナイキやアメリカン・エキスプレスといった企業から、普段は聞けないような話を聞けました。
最終日となる3日目は、まず前日の振り返りから始まり、それから若いマーケッターがCMOに期待することは何かを話してもらいました。続いてTEDのリーダーは広げる価値のあるアイデアについて、TBWAの会長は彼の人生の教訓について、それぞれ語ってくれました。そして、初日に検討したCMOの懸念事項から、360度のコミュニケーションを行う際の問題について議論し、きちんとアクションプランをまとめてこのプログラムを終えることができました。