3.指標をシンプルにする
 キャンペーンの成果に関する報告書が25ページに及んでいても、「次回はどんな新しい方法を実践すべきか」という質問に答えるものでなければ役に立たない。数字にとらわれ、何週間にもわたってキャンペーンを検証し続け、結局は行動に結びつく結論が得られない企業がある。数十もの指標を示すのではなく、いくつかに絞り込もう。キャンペーンの効果はあったか、今後はどこを変更すべきかを示すだけでよい。

 モバイル機器向けの食料品販売サイトのプッシュピンズ(Pushpins)は、イーベイツ(Ebates:購入者にキャッシュバックを提供する会社)の親会社でもあるパフォーマンス・マーケティング・ブランドに最近買収された会社である。プッシュピンズは次の2種類のデータのみを重視している。

(1)同社のモバイルアプリが実際に使われた回数
(2)ユーザー1人当たりの利用時間

 CEOのジェイソン・ガーウィンは、創業初期をこう振り返る。「うわべだけの指標、たとえばアプリのダウンロード回数などに惑わされず、ユーザー1人当たりの利用時間に注目した。このデータは、新たな機能がユーザーの活動を増やすかどうかを示すからだ」

 別の例を挙げよう。フォーチュン500社に属する、ある消費者向けテクノロジー企業は、より大きな成果を上げるためにキャンペーンの評価プロセスを見直した。以前は25以上の指標があったが、いまでは毎週のミーティングでCMOが見ているのは、5つの指標だけだ。議論を絞り込んで各キャンペーンを「育てるか、やめるか」決定し、ミーティングは終わる。見込みのあるプロジェクトにより多くの経営資源を与えて「育てる」か、そうでないものを「やめる」かである。

4.懸命にではなく、機敏に仕事をする
 ほとんどのキャンペーンは、展開までに費やす期間を数日とすべきであり、数カ月をかけてはならない。大企業では必要な承認が多すぎるなど、煩雑なプロセスがあるために、リードタイムが長くなりがちだ。そうなると、キャンペーンがどれほどうまく設計されていても素早く繰り返すことはできず、新興企業のようなスピードで学ぶこともできない。

 小さな変更を重ねれば、大きな時間の節約になり、それが究極的にはより速い学習につながる。別の消費者向けテクノロジー企業は、現在キャンペーンのプロセスを見直している。アイデアの創出からキャンペーン開始までの期間を6週間から3週間に短縮することが目標だ。

 この企業はまず、キャンペーンの開発と実行のプロセスにおける全ステップを綿密に計画した。続いて、プロセスの簡素化とスピードアップを図るための簡単な方法を考えた。たとえば、キャンペーンを開始する前にマーケターが戦略概要を1ページで示すための書式を導入した。このシンプルな書式により、マーケターがキャンペーンの目的を最初から理解しているかを確認でき、もったいぶった戦略概要を作成したくなる誘惑を抑えることができる。キャンペーンの開発サイクルを3週間に短縮することで、同社は2倍速く学ぶことができる。そして製作関連のやり直しを減らすことで、代理店への支出を50%削減できると推計している。

 マーケターが成果を上げるには、かつてなく機敏に、柔軟になる必要がある。成功へのカギは完璧を目指して粉骨砕身することではなく、新興企業のように考え、学ぼうとすることだ。


HBR.ORG原文:Four Ways to Market Like a Startup March 22, 2013

 

ブライアン・グレッグ(Brian Gregg)
マッキンゼー・アンド・カンパニーのパートナー。マーケティング、マルチチャネル・コマース、顧客インサイトを担当。

ビビアン・ウェン(Vivian Weng)
マッキンゼー・アンド・カンパニーのシニア・アソシエイト。デジタルのマーケティングと戦略の専門家。