これらに反して、正しい実施方法を知っている企業も存在する。上述の内容と真逆の方法によって、私がほぼ毎回調査票に回答してしまう企業も存在する。顧客から質の高いフィードバック――学習、行動、そして投資判断にも活用できるようなフィードバック――を必要としているのであれば、そうした企業の手法を真似る価値はあるだろう。
・調査票はいつも簡潔で短く、通常2~3の質問のみで構成されている。それぞれに10もの質問項目が従属するような2~3の質問「群」ではない。本当に短い内容で、私の時間を大事にしてくれている。
・指摘した問題について直接行動を起こす。私がよく利用するホテルは、好みのウェルカムスナックを毎度間違えるので、そのことを指摘した。すると次にチェックインをした時、フロントデスクの従業員が、「お望みのスナックを部屋にご用意していることは確認済みです」、と胸を張って伝えてきたのだ。スゴイ! このホテルの体系化された学習プロセスでは、全階層の従業員に関連あるフィードバックが確実に届くようになっている――しばしば一言一句に至るまで。シニアマネジャーは、プロセスの変更、新たなサービス、その他新しい取り組みに関する意思決定に、これらのフィードバックを活用している。
・私の意見が将来的に他の顧客にも役立つ。私はコンピューター周辺機器の会社のロジテックの調査票には、いつも回答するようにしている。ロジテックでは、すべての商品が簡単な顧客調査によって得られる独自の顧客フィードバック評点(ロジテックの場合はネット・プロモーター・スコア)を有する。そして商品のパフォーマンスが芳しくなければ、直ちにデザインが再考される。自信を持って売り出したMX5000キーボードが期待評点よりも低かった時、責任者たちは直ちに顧客フィードバックを分析し、商品の欠点を洗い出した。そしてすぐにその問題を克服する新たなモデルを開発した。他の企業であれば、商品が予想に反して売れなかった理由を特定できなかったかもしれない。
熟練した調査票の活用者は、効果的なフィードバックシステムには、単に正しい質問を聞く以上の工夫が求められることを知っている。必要なのは、迅速で、信頼性が高く、そして行動につながるような回答である。ここに記した3つの原則に従うことは、そのようなフィードバックを得る手助けになるだろう。
顧客として、あなたが調査票に回答する、もしくはしない理由は何だろうか?
HBR.org原文:Are Your Surveys Worth Your Customers’ Time? August 23, 2011
*本連載は、ロブ・マーキーがフレッド・ライクヘルドと共著した『ネット・プロモーター経営』の中身をハイライトしたものです。
*第3回は11月1日公開予定。
1973年に創設。世界32ヶ国に50拠点のネットワーク、約5700名を擁する世界有数の戦略コンサルティングファーム。クライアントとの共同プロジェクトを通じた結果主義へのこだわりをコンサルティングの信条としており、結果主義の実現のために、高度なプロフェッショナリズムを追求するのみならず、きわめて緊密なグローバル・チームワーク・カルチャーを特徴としている。