2.財務および戦略的な成果との明確な関連性

 顧客指標は、財務および戦略目標と関連づける必要がある。さもなければ、報酬の違いを正当化することは難しい。CFOと財務部門はここでリーダーシップを取ることができる。ミクロレベルでは、特定顧客セグメントの経済価値を規定することだ。例えば、批判者を推奨者に転換させることによる経済的価値を計算する、あるいは、離反率の違いを用いて異なる顧客グループの生涯価値を算定することも可能だ。マクロレベルでは、市場シェアの増加や売上げ向上の観点から、高い顧客ロイヤルティを達成することの価値を推定することができる。

 顧客からのフィードバックと事業結果の関連性を、現場マネジャーや財務部門が完全に信頼しない限り、その報酬体系は長続きしないだろう。

3.根本的原因を理解するためのプロセスとツール

ネット・プロモーター・システム(NPS) を早い段階から適用し始めたことで有名なある企業は、評点を理解するための充分な規律とプロセスを確立する前に、NPSの改善を管理職の報酬に反映させた。一人の困惑した管理職が「我々はこれだけのデータを持っている。しかし、期間や顧客間で異なる評点の違いを説明することができない」と報告したように、同社の管理職はなす術がなく不満を感じていた。

 したがって、評点の結果の背景をチームが理解できるようなプロセスを確立するべきだ。

●顧客からのコメントを分析し、その根本的原因に遡ることができるような、確固たるツールや手順を策定する

●クローズド・ループ・プロセス(例えば、不満を抱いている顧客に電話をかける)を用い、顧客対応する従業員に状況の詳細を明らかにする。これらのプロセスを方針の伝達、価格設定、人材配置、プロセスや商品改善に用いることも可能だ

●顧客対応を担当する従業員グループと会議を開き、不備があった顧客体験を分析する

 企業は、従業員が異なる評点をもたらす原因を理解できるようにサポートするべきだ。そうすれば、従業員は顧客からのフィードバックを単なる評点カード以上のものとして見るだろう。